テキスト155~158ページ。戦後日本財界のあり方も,アメリカの対日占領政策に大きく左右される。45年のポーレー報告は戦時中の財閥の役割の検討から,財閥を「日本における最大の戦争潜在力」と規定する。しかし,政策転換後の48年ロイヤル演説は,財閥解体による「戦争遂行能力」の弱化を逆に懸念する。
46年には財閥解体の指令が出され,戦争推進者の公職追放が財界人にも及ぶ。そのため46年創設の経済団体連合会は正副会長を決めることができない。しかし,48年には財閥解体停止が決まり,財界パージ(追放)も曖昧となる。これに対応して48年の第2回総会で経団連は石川一郎初代会長を決めることになる。
52年に全面占領が終わった段階で,日本政府の経済最高顧問についていたのは三井,三菱,住友の旧財閥三者のトップ。「最大の戦争潜在力」は,アメリカいいなりを条件として,戦後日本の経済的権力者としての地位を回復したわけである。それはアメリカの対アジア軍事戦略に組み込まれてのことである。
戦後日本のアメリカに対する従属は,軍事的・政治的従属を核心とするが,この他に経済のレベルでの過度の対米依存が,これをより深刻化する役割を果たす。過度の依存は,権力的支配関係にとっては支配のための手段ともなる。依存の内実は日本の輸出産業のアメリカ市場依存である。これは円ドル相場の変動をつうじて日本への経済的圧力の手段とされる。
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