以下は、部落問題研究所「会報」 2014年10月1日 第225号に掲載されたものです。
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「大学生の原発・『慰安婦』問題の学び―ゼミでのフィールドワークと出版を中心に」
こんにちは。神戸女学院大学の石川康宏です。10月の全国集会で、大学のゼミでの取り組みについて報告させていただきます。
私が神戸女学院に赴任したのは1995年で、当初のゼミは「日本経済と女性」などをテーマにしていました。
それを04年に「慰安婦」問題に転換し、12年から「原発・エネルギー問題」に変更しています。集会ではこの2つのテーマでの取り組みを紹介します。
〔「慰安婦」問題での学び〕
04年から、3年ゼミは週1回毎回3~5時間となりました。6月頃に1泊で東京研修(女たちの戦争と平和資料館、靖国神社・遊就館、しょうけい館など)、9月に3泊で韓国研修(ナヌムの家、タプコル公園、水曜集会、西大門刑務所など)を行い、10月以降は本づくり、学生による講演などを行うのが通例となりました(4年生は就職活動と卒業論文に集中しています)。
重視したフィールドワークは、問題の重大性を肌で感じる格好の機会です。
靖国の遊就館、元「慰安婦」被害者とのふれあいは、それぞれ学生たちには強烈な刺激となりました。
この間にゼミで出版したものには、『ハルモニからの宿題』(05年)、『「慰安婦」と出会った女子大生たち』(06年、韓国語版08年)、『「慰安婦」と心はひとつ 女子大生はたたかう』(07年)、『女子大生と学ぼう「慰安婦」問題』(08年)、『「ナヌムの家」にくらし、学んで』(12年)があります。
出版や講演は、①学びの成果をまとめるとともに、②大人の一員として社会にはたらきかけ、③「社会問題に取り組む大人」とふれあうといった意義を持ちます。
〔原発・エネルギー問題での学び〕
「原発・エネルギー問題」をテーマにしたゼミも、基本は、以上の取り組みを引き継いだものとなっています。
12年の3年生は、2年近くをかけて『女子大生のゲンパツ勉強会』(14年)を出版しました。問題のイロハを繰り返し学んだ成果です。
学生座談会「じっくり学んだら見えてきたもの」の小見出しは、「基本がわかっていなかった--学び始めた頃」、「『地元』のインパクト--若狭に行って」、「『伝えること』を考えて」となりました。
6月に福井で1泊研修を行いましたが、そこでの「消費地元の責任」(中嶌哲演さん)という言葉に学生たちは強い衝撃を受けていました。
13年の3年生は、1年待たずに『女子大生 原発被災地ふくしまを行く』(14年)を出版しています。
座談会「行って、感じて、考えたこと」の小見出しは「被災と復興の状況をうかがって」、「全町避難の浪江町に入っていく」、「福島の食と農をうかがっていく」、「果樹園のみなさんの努力と温かさ」、「旅行の全体をふりかえって--福島だけの問題じゃない」となっています。
7月に福井へ行っただけでなく、9月に福島で3泊の研修を行った結果でした。
今年14年の3年ゼミは「原発と原爆」をテーマにしています。7月には1泊で広島研修を行い、9月には3泊で福島の川内村、浪江町、南相馬市、福島市を訪れます。
いまは構成もまったく見えていませんが、何とかして出版にこぎつけたいと思っています。
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