この数日の安倍首相による「狭義の強制」否定発言につづく,「慰安婦」問題関連の記事である。
基本的には,国内の「慰安婦」否定派が,政府,自民党,民主党から立ち上がり(公明党も政府による調査を肯定した),これが国際社会の批判によって孤立を深めていくという図式である。
政府内部にも,早く収束すべきだ,調査は学者がすべきとの意見がある(中川幹事長)一方,党の調査を応援する発言もある(麻生外務大臣)。
とりわけ強いアメリカの反発を前に,いつでも右往左往している安倍首相は,自ら大きな墓穴を掘り,今回も最後には声をひそめつつあるようである。
それにしても決議が通っても謝罪しないという安倍発言へのアメリカ下院の反発は強い。
おそらく,そこには下院のメンツの問題の他に,アジアでリーダーシップのとれる目下の同盟者を維持したいという,アメリカ支配層の対日戦略がはたらいている。
安倍「オール靖国」内閣の発足にもかかわらず,これを簡単に押し流してしまうほどに東アジアの経済成長にもとづく世界構造の変化は大きい。
そのことを理解している政府・自民党の有力議員は,きわめて少数のようである。
⑯ 従軍慰安婦問題 内外から批判『日米』懸念も(東京新聞,3月11日)
安倍晋三首相が、従軍慰安婦問題をめぐる国会答弁で苦しんでいる。首相は元慰安婦へのおわびを表明した「河野官房長官談話」を踏襲する一方、慰安婦募集で「狭義の強制」があったことは否定した。これに対し、野党やアジアだけでなく、米メディアからも批判が続出。政権の新たな火種になりかねない状況だ。 (篠ケ瀬祐司)
首相は五日の参院予算委員会で、慰安婦募集で業者による事実上の強制や、経済事情による不本意な応募という「広義の強制性」はあったが「官憲による強制連行という、狭義の強制性を裏付ける証言はなかった」と答弁した。
首相は河野談話継承を明言した昨年十月の臨時国会でも、同趣旨の答弁をしている。首相として外交上、河野談話の継承は不可欠だ。ただ、首相就任前に「河野談話が認めた『慰安婦募集での官憲の直接加担』は証明されなかった」と明言した立場もある。そこで首相は「狭義の強制」はなかったが「広義の強制」はあったとの理屈で、野党側の追及をかわそうとした。
五日も同様の説明をしたのだが、そもそも「広義・狭義」のニュアンスは海外に伝わりにくい。その上、首相が同日、米下院で審議中の慰安婦問題で日本政府の明確な謝罪を求める決議に関し「決議があったからといって(新たに)謝罪することはない」とも答弁したことで、波紋が一気に広がった。
中韓両国は「慰安婦問題は日本政府が認め、責任を負うべき歴史の事実だ」などと反発。米国でも「日本は事実をゆがめることによって恥をかいている」(ニューヨーク・タイムズ紙)などと、強制の有無についてよりも、首相の姿勢そのものを批判する論調が相次いでいる。
また、自民党内からも「米国が(安倍政権は)戦争責任を回避しようとする政権ではないかととらえ始めている」(加藤紘一・自民党元幹事長)と、日米関係の今後を懸念する声が出始めた。
首相は九日の参院予算委員会で従軍慰安婦問題での考え方を問われると「事実関係について話をしたが、必ずしも正しく冷静に伝わらない」と、「広義・狭義」論を封印したが、今後も追及されるのは必至。首相就任後初の訪米が四月に控えているだけに、事態沈静化のための追加説明が必要になりそうだ。
⑮ 慰安婦問題「心からおわび」=安倍首相(時事通信,3月11日)
安倍晋三首相は11日午前のNHK番組で、従軍慰安婦問題について「心の傷を負われ、大変な苦労をされた方々に心からおわび申し上げている」と述べた。
首相は「(同問題を謝罪した)河野洋平官房長官談話を継承していく。これは一貫した姿勢だ」と強調。「小泉純一郎前首相、橋本龍太郎元首相も元慰安婦に(おわびの)手紙を出しているが、その気持ちはわたしも全く変わらない」と語った。
⑭ 麻生外相、慰安婦問題「党の調査は問題ない」(日経新聞,3月11日)
麻生太郎外相は11日午前のフジテレビ番組で、政府、自民党内で従軍慰安婦に関する事実関係の再調査を求める動きが出ていることに関し「政府で調査するとは聞いてない」とした上で「現実をもう1回調査することは決して悪いことではない。党でやられるのはいいのではないか」と述べ、党の調査は問題ないとの認識を示した。
従軍慰安婦問題で米下院外交委員会の決議案が採択されても謝罪しないと安倍晋三首相が明言したことについて「今の段階で謝罪する必要が特にあるとは思わない」と指摘。同問題の日米関係への影響については「この問題があるから日米関係が危機に陥るかのごとく話は行き過ぎだ」と述べた。〔共同〕
⑬ 過敏な反応すべきでない 慰安婦決議で中川幹事長(山陽新聞,3月11日)
自民党の中川秀直幹事長は11日、テレビ朝日の番組で、従軍慰安婦問題をめぐり日本側に「明確な謝罪」を求めた米下院外交委員会の決議案に関し「提出した議員の選挙区事情があるようだ」と指摘した上で「国際的なゲームに利用される場合もある。日本は過敏な反応をしてはいけない」と述べ、冷静に対応すべきだとの認識を示した。
同時に、「おわびと反省」を表明した河野洋平官房長官談話の継承を安倍晋三首相が表明していることを挙げ「首相の発言に尽きる。誤解を解き、議論を収束していくべきだ」と強調。再調査を求める党内の動きには「専門家や歴史家が中心となって検証するのが正しい。政治問題、外交問題として語るべきではない」と指摘した。
⑫ 米「慰安婦」決議案 安倍発言で審議加速 下院小委員長 本紙に語る(しんぶん赤旗,3月9日)
【ワシントン=鎌塚由美】「従軍慰安婦」問題の米議会下院の決議案について、下院外交委アジア太平洋地球環境小委員会のファレオマバエガ委員長(民主党)は七日、決議案を外交委員会に送るための審議を「三月中に行いたい」と本紙インタビューのなかで語りました。同決議案は、アジア太平洋戦争時の日本軍による「従軍慰安婦」問題で日本政府に謝罪を求めているもの。
に配慮の情勢「劇的に変わった」
ファレオマバエガ委員長は、四月末に予定される安倍首相の訪米に配慮して採決をその後に先送りする可能性を一部メディアに語っていましたが、「慰安婦」問題で強制性を否定する「安倍首相の重大な発言」で「情勢は劇的に変わった」と述べました。
同委員長は、安倍首相の発言は「大変矛盾のある、とても深刻な発言だ」とし、日本軍による関与と強制を認めた一九九三年の河野官房長官(当時)談話は、「根拠があったから出されたはずだ」と主張しました。日本政府のこれまでの態度については、「決して本当の謝罪ではなかった」とし、河野談話についても「敬意を表する」としながら、「公式な謝罪だとは考えていない」と語りました。
安倍首相の発言は、日本政府を擁護していた米議員の態度にも変化をもたらしています。元「慰安婦」の女性が証言した公聴会で、「日本政府は何度も謝罪してる」として同決議案に唯一反対を表明していたローラバッカー議員(共和党)のセットマイヤー報道担当者は七日、首相の発言は「九三年の河野談話とも矛盾し、受け入れられない」とし、同決議案が採決にかけられれば「支持する」と表明しました。
安倍発言によって、同決議案の共同提出議員の数も増加。発言直後に新たに十人が加わり、現在三十六人になっています。ファレオマバエガ委員長は、「今後、超党派でさらに増えるだろう」との見通しを示しています。
⑪ 過小評価は「誤り」 慰安婦問題で駐日米大使(北海道新聞,3月9日)
シーファー駐日米大使は9日、日本人記者団との会見で日本の政界の一部で従軍慰安婦問題を過小評価する傾向があることについて「誤りだ」と述べ、米国内で「ホットな問題」になっていることを強調した。
特に、日本に「謝罪」を求める下院外交委員会の決議案に反対していた親日のローラバッカー下院議員(共和党)のような保守派が賛成に回ったことを挙げた。安倍首相が、おわびと反省を明記した「河野洋平官房長官談話」の継承を強調していることは評価した。
同決議案は、下院外交委員会で審議中で、日本が採決回避に向け働き掛けを強化。安倍首相は、決議案が採択されても謝罪しないと明言している。
米国と北朝鮮が歩み寄った米朝作業部会とは対照的に、日朝国交正常化に関する作業部会が成果なく終了したことについては「驚かない」と述べ、今後の交渉を見守る姿勢を示した。
⑩ 米下院外交委、慰安婦決議案を月内採択…小委長見通し(読売新聞,3月9日)
【ワシントン=五十嵐文】いわゆる従軍慰安婦問題で、日本政府に謝罪などを求める米下院の対日決議案が3月末までに外交委員会で投票にかけられる見通しとなった。
同委員会アジア太平洋・地球環境小委員会のエニ・ファレオマバエガ小委員長(民主党)が読売新聞とのインタビューで明らかにした。
委員50人のうち36人がすでに賛意を示しており、採択される公算が大きいという。
決議案は、議会が2週間の休会に入る4月までに、小委員会での議決を経ずに委員会で採択される可能性が高い。その後は本会議での審議に移る。
インタビューで、小委員長はトム・ラントス外交委員長(民主党)と協議し、4月下旬から予定される安倍首相の訪米が終わるまで審議を中断する方向で調整していることも明らかにした。日本政府が決議案の修正や廃案を求めていることに関しては、修正に応じる考えを強調する一方、「日本の国会が正式な謝罪を出し、首相が承認しない限り、この問題はいつまでも続く」と述べた。一方、同小委員会の公聴会で唯一、決議案に反対する考えを公言していた共和党のダナ・ローラバッカー議員は7日、報道担当者を通じ、賛成に回る考えを表明。慰安婦問題をめぐる首相の発言を踏まえて考えを変えたという。
⑨ 米下院、慰安婦決議案への支持広がる=首相訪米時の「踏み絵」に(時事通信,3月10日)
【ワシントン10日時事】第二次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり日本政府に謝罪を求める決議案を審議中の米下院で、同案支持の動きが広がっている。安倍晋三首相が「狭義の強制性」を否定したことなどを受け、当初6人だった決議案の共同提案者は10日までに40人を超えた。米メディアでも日本に厳しい論調が目立ち、首相訪米を控え、大きな火種となる可能性が出てきた。決議案の代表提出者のホンダ議員(民主)の事務所によると、9日時点で共同提案者は共和・民主両党の計42人で、さらに増える見通し。リベラル派議員が多いが、軍拡や移民規制強化の主張で知られる保守派のハンター前軍事委員長(共和)も名を連ねている。
⑧ 従軍慰安婦再調査、官邸内でも足並みに乱れ(日経新聞,3月9日)
自民党の有志議員による「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(中山成彬会長)が従軍慰安婦問題の事実関係の再調査を政府に求めていた問題で、首相官邸内でも足並みがそろわない。
「下村博文副長官に聞いたら(政府が)必ず調査しますと言っていた」。中山会長は9日の会合で、前日に面会した下村副長官に、後に電話で確認したとする内容を披露した。
政府の調査を否定する安倍晋三首相は9日、記者団に、下村、中山両氏の会話について「下村さんに聞いてほしい。(政府は)資料を出す、ということが(中山氏に)正しく伝わらなかったのかも」と説明するなど困惑気味だ。一方の下村氏は「ノーコメント」。中山発言を明確に否定しないことで、政府の意思統一に疑問符がついた格好だ。
従軍慰安婦を巡る1993年の「河野洋平官房長官談話」見直しでは、首相と下村氏がかつて有志議員の会で活発に活動した経緯があり、会の主張を門前払いしにくい事情もある。
⑦ 安倍首相の慰安婦問題発言 米国で止まらぬ波紋(朝日新聞,3月9日)
米国内で、従軍慰安婦問題をめぐる波紋の広がりが止まらない。ニューヨーク・タイムズ紙など主要紙が相次いで日本政府を批判する社説や記事を掲載しているほか、震源地の米下院でも日本に謝罪を求める決議案に対して支持が広がっているという。こうした状況に米国の知日派の間では危機感が広がっており、安倍政権に何らかの対応を求める声が出ている。
◆広がる波紋
8日付のニューヨーク・タイムズ紙は、1面に「日本の性の奴隷問題、『否定』で古傷が開く」と見出しのついた記事を載せた。中面に続く長いもので、安倍首相の強制性を否定する発言が元従軍慰安婦の怒りを改めてかっている様子を伝えた。同紙は6日にも、安倍発言を批判し、日本の国会に「率直な謝罪と十分な公的補償」を表明するよう求める社説を掲げたばかりだ。
ロサンゼルス・タイムズ紙も6日に「日本はこの恥から逃げることはできない」と題する大学教授の論文を掲載し、翌7日付の社説では「この問題を修復する最も適任は天皇本人だ」と書いた。
今回の慰安婦問題浮上の直接のきっかけとなった米下院外交委員会の決議案をめぐっては、安倍首相が1日「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と発言したのを受けて支持が広がっている。
05年末までホワイトハウスでアジア問題を扱っていたグリーン前国家安全保障会議上級アジア部長は、「先週、何人かの下院議員に働きかけ決議案への反対を取り付けたが、(安倍発言の後)今週になったら全員が賛成に回ってしまった」と語る。米国務省も今週に入り、議員に対し日本の取り組みを説明するのをやめたという。
◆知日派にも危機感
6日に日本から戻ったばかりのキャンベル元国防次官補代理は、「米国内のジャパン・ウオッチャーや日本支持者は落胆するとともに困惑している」と語る。
「日本が(河野談話など)様々な声明を過去に出したことは評価するが、問題は中国や韓国など、日本に批判的な国々の間で、日本の取り組みに対する疑問が出ていることだ」と指摘。「このまま行けば、米国内での日本に対する支持は崩れる」と警告する。
現在日本に滞在中のグリーン氏も「強制されたかどうかは関係ない。日本以外では誰もその点に関心はない。問題は慰安婦たちが悲惨な目に遭ったということであり、永田町の政治家たちは、この基本的な事実を忘れている」と指摘した。
その結果、「日本から被害者に対する思いやりを込めた言葉が全く聞かれない」という問題が生じているという。日米関係にとってこの問題は、「牛肉輸入問題や沖縄の基地問題より危ない」と見ている。
グリーン氏は今後の日本が取るべき対応として(1)米下院で決議が採択されても反論しない(2)河野談話には手を付けない(3)何らかの形で、首相や外相らが被害者に対する理解や思いやりの気持ちを表明する、の3点を挙げた。
× ×
シーファー駐日米大使は9日、東京都内の大使公邸で朝日新聞などに対し、「決議案は拘束力のないものだが、この問題の米国での影響を過小評価するのは誤りだ」と述べた。さらに「米国には、河野談話からの後退を望む日本の友人はいない」とも語り、河野談話の見直しを模索する自民党内の動きを牽制(けんせい)した。
⑥ 「辛酸に心から同情」=慰安婦問題、反論控える-安倍首相(時事通信,3月9日)
安倍晋三首相は9日午後の参院予算委員会で、従軍慰安婦問題について「慰安婦の方々が極めて苦しい状況に置かれ、辛酸をなめられたことは心から同情し、既におわび申し上げている」との認識を表明した。同時に首相は、狭義の強制性を否定した自らの発言に海外から批判が相次いでいることについて「事実と違った形で伝わっていく現状では、非生産的な議論を拡散させる」と述べ、反論などを控える考えを明らかにした。若林秀樹氏(民主)への答弁。
⑤ 民主、慰安婦問題・南京事件検証する会を発足(産経新聞,3月9日)
民主党の有志議員らが9日、「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」(会長、渡辺周衆院議員)を発足させ、国会内で初会合を開いた。
同会は、慰安婦問題で謝罪と反省を表明した平成5年の河野官房長官談話について、明らかになっている物証や証言などを改めて検証したうえで、「公権力による強制連行の事実はなかった」との認識を盛り込んだ新たな見解を発表するよう政府に働きかけていく方針だ。
呼びかけ人は次の通り。(敬称略)
石関貴史、市村浩一郎、大江康弘、河村たかし、北神圭朗、小宮山泰子、芝博一、神風英男、鈴木克昌、田名部匡代、田村謙治、長島昭久、牧義夫、松下新平、松原仁、三谷光男、吉田泉、笠浩史、鷲尾英一郎、渡辺周。
④ 慰安婦問題再調査へ 首相、「強制性」を検証(西日本新聞,3月8日)
安倍晋三首相は7日、戦時中に朝鮮半島などから動員された従軍慰安婦問題をめぐり、旧日本軍の関与を認めた「河野洋平官房長官談話」(1993年)の前提となる事実関係について再調査を実施する方向で検討に入った。歴史学者らでつくる有識者機関に再調査を委ねる案などが浮上している。複数の政府、与党関係者が明らかにした。
政府の前回調査から14年を経て「新たな資料、証言が出ている」(与党関係議員)ことから、慰安婦動員の「強制性」についてあらためて検証する必要があるとの判断に傾いた。首相は河野談話を継承する考えを明言しているが、再調査が談話見直しにつながる可能性は否定できないだけに、中国、韓国など近隣諸国の反発も予想される。
自民党の有志議員でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は再調査を求める提言を9日にも官邸に提出する方針で、「談話の見直し機運を高めていきたい」(関係議員)との考えだ。
首相としては旧軍の強制性に関する自らの発言をめぐり、各国に反発が広がったことから、再調査で「官憲が人さらいのように連れて行く『狭義の強制性』」を否定する裏付けを得たい狙いもあるとみられる。
政府は、河野談話が「今後も民間研究を含め十分に関心を払っていく」としていることを踏まえ、「談話と再調査は矛盾しない」との立場。公明党の北側一雄幹事長は7日の記者会見で「客観的、科学的にという前提で、(政府の再調査を)否定するつもりはない」との考えを示した。
首相は就任前に従軍慰安婦問題について「よく精査すべきだ」と再調査の必要性に言及。下村博文官房副長官も昨年10月に「事実関係をよく研究し、客観的、科学的知識を収集して考えるべきだ」と指摘していた。
③ 山崎氏、首相発言に「弁解がましい」 慰安婦問題で(産経新聞,3月8日)
自民党山崎派の山崎拓会長は8日の派閥総会で、安倍晋三首相が従軍慰安婦動員をめぐり「官憲が人さらいのように連れて行く『狭義の強制性』」を否定していることを念頭に、「弁解がましいことは一切しない方がいい」と批判した。
山崎氏は「(日本に謝罪を求める決議案採択に向けた)米下院の動きは決して愉快でないが、従軍慰安婦なるもの(の存在)は事実だ。それが強制によるか、間接的な強制かの議論は実は弁解にすぎない」と強調。「そういう議論をするより、われわれは(旧日本軍の関与を指摘した平成5年の)河野洋平官房長官談話を認めるべきだ」と述べた。
② 慰安婦実態の再調査表明/首相、政府・自民連携で(四国新聞,3月8日)
安倍晋三首相は8日、戦時中に朝鮮半島などから動員された従軍慰安婦問題をめぐり、旧日本軍の関与を認めた「河野洋平官房長官談話」(1993年)の前提となる事実関係について、政府、自民党で連携しながら再調査する考えを表明、関係資料を公開する意向も示した。 官邸で記者団に「自民党が調査していくので、政府として資料提供などで協力していく。資料が必要だと求められれば対応していく」と述べ、政府が関与する形での再調査方針を言明した。
河野談話については継承する考えを重ねて強調したが、再調査が「談話見直しの布石」と受け取られる可能性もあり、近隣諸国を含め内外に波紋を広げるのは必至。当面は党が中心となる調査に政府が協力する形を取ることで、中国、韓国などの反発をかわしたい意向もうかがえる。
① 慰安婦問題で再調査を/自民議連が提言(四国新聞,3月8日)
自民党有志の議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)は8日の会合で、従軍慰安婦問題に関する1993年の「河野洋平官房長官談話」の前提になった事実関係を政府として再調査するよう求める提言をまとめた。
従軍慰安婦問題をめぐり日本の「明確な謝罪」を求める米下院外交委員会決議案が採択されないよう政府が外交努力を続けることも促しており、近く首相官邸に申し入れる。
提言は、慰安婦の動員に際して「民間業者による本人の意思に反する強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった」と指摘。「政府は根本的解決のため、再度の実態調査を行い、関連資料の結果を全面的に公開することを求める」とした。
当初は河野談話の見直しを求める方針だったが、首相が談話踏襲を明言していることから軌道修正した。
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