日本共産党「しんぶん赤旗」2006年4月5日付掲載
研究ノート「『知識人』たりえているか」
少なくとも私の学生時代には,「知識人」というのは単なる専門研究者のことではなく,社会の進路について積極的な発言を繰り返す研究者や評論家のことを指していた。
年をへて「知識人」足り得ているかを,逆に問われる立場となったいま,時代の要請にあわせて仕事を行う姿勢の大切さを,あらためて考えさせられている。
もちろん手の出せる研究範囲には限りがあるわけだが,それでも自分の道行に先に型をはめてしまうのではなく,様々な要請に応える中で,結果としてできあがる自分の将来を楽しみに思う――そうした姿勢が「マルクス主義の研究者」の自然な生き方ではないかと思い始めている。
そのようなある種の開き直りの上で,自分に期待している研究テーマは,現時点では概ね次のようになっている。
①世界構造の大きな変化とその中での日本の地位の探究,②ジェンダー視角からの資本主義分析,③『資本論』以後の現象である社会保障の理論的把握,④それぞれの問題にかかわる財界と労働者の生きた対抗を含んだ日本資本主義論など。
いまは②③にかかわる「少子化」問題と,①にかかわる「日米関係」の原稿をかかえているが,そうして論文を書くごとに,関連する歴史の知識を増やしたいというのも希望である。
若い世代への説教やおしつけではない激励も,この年になれば大切な仕事の1つなのだろう。
欲ばりな期待ではあるが,何がどこまで出来るかを,やはり自分の将来に期待したい。
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