以下は,「しんぶん赤旗・日曜版」2006年9月3日に掲載されたミニ論評です。
電話でのインタビューがもとになっています。見出しは編集部がつけてくれました。
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安倍氏の「美しい国」の正体
安倍さんは著書『美しい国へ』で自分は「たたかう政治家」だと、声をからしています。しかし、私には、たたかわない問題の方が印象に残りました。
まず、貧困や格差とはたたかわない。セーフティーネットというが、国民生活全体をどう引き上げるかの視角がない。生活保護をもらえず餓死した人の事を引き合いには出しますが、「運用は大変むずかしい」というだけです。
「日本を独立させる」「占領体制から脱却する」といいますが、米軍基地再編問題や、アメリカからの経済介入についてはぽっかり抜け落ちて、本当の「自立」はまるで念頭にないようです。郵政民営化がアメリカ企業の大もうけのためだという批判は、保守の人にもありますが、そうした分析もない。アメリカとはたたかわないのです。
首相の座が近づくと、安倍さんは「靖国神社」問題や、先の戦争の評価を避けるようになりました。しかし、本音は「先の大戦は正しかった」という靖国の歴史観を肯定する立場です。
アジアに対する視線も貧しい。経済関係は大事だといいつつ、中国や韓国との政治的関係を修復する考えはなく、インドとオーストラリア、アメリカがいればいいといっています。
安倍政権の「たたかい」は、憲法と教育基本法を変え、アメリカを手伝う「戦争ができる国づくり」「人づくり」をすすめるものです。日本国民やアジア諸国民には少しも「美しくない」のです。
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