以下は,日本共産党兵庫県委員会「兵庫民報」2007年1月7日(第2128号)に掲載されたものです。
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新春対談/いっせい地方選挙/参議院選挙勝利
新たな前進へ/国民と心かよわせ前進切り開こう
石川康宏神戸女学院大学教授
堀内照文兵庫国政委員長
もう悪政は許せない
堀内 明けましておめでとうございます。いよいよ、いっせい地方選挙、参議院選挙の年になりました。昨年は教育基本法改悪など悪政が強行されましたが、この二つの全国選挙に勝利して、日本共産党の新たな前進の年にしたい。とくにこの兵庫の参議院議席を奪還するため全力をあげる決意です。
石川 おめでとうございます。堀内さんの活躍ぶりは、毎日のブログで見させてもらっています。意欲的に県内をまわられている様子が良くわかり、とても頼もしく思っています。時々かわいいお子さんの話題が出てくるところもいいですね。ぜひ今年の挑戦で、国会に大切な議席を確保してほしいと思います。応援しています。
堀内 昨年秋から日本共産党兵庫県委員会では日本民主青年同盟兵庫県委員会と協力して、「青年雇用アンケート」にとりくんでいます。
二人に一人が非正規雇用、半数が年収二百万円以下という厳しい雇用状況がここでもあらわれているのですが、一番驚いたのは、「不安・心配ごと」の項です。
予想どおり「賃金が安い」が第一なのですが、二番目が「心と体の健康」。若い世代が自分の心と体の心配をしながら働かなくてはならないというのが、いまの日本の労働現場なのです。
偽装請負問題では、国会議員団が松下PDP尼崎工場を調査しましたが、本社は派遣・請負の人数を把握してないというのです。労働者を「資材・部品」扱いしている実態に怒りを感じました。
国会では日本共産党の市田忠義書記局長が安倍首相に「ワーキングプア前提の生産は大問題だ」と答弁させてのは大きいですね。
松下尼崎工場は正社員三百人にたいし派遣・請負が八百人ですから、「ワーキングプアが大前提」です。
石川 働いてもなお貧困から抜け出せない「ワーキングプア」や非正規雇用の問題を、マスコミも取り上げずにおれなくなっているのが最近の状況だと思います。あるTV番組では「正規になりたい。でも仕事がない」と机をたたいて怒っている青年の姿を映していました。
「もうがまんできない」という怒りと運動がマスコミをも動かし始めているということです。
堀内 安倍首相答弁が重要だと痛感したのは、郵政公社と交渉したときです。
交渉の数日前に近畿支社の部長が、「ゆうメイト」解雇の指示を出していたことがあきらかになりました。もともとは郵便局の集配業務廃止問題についてが主題だったのですが、交渉の責任者が当の部長だったので、「ゆうメイト」についてもただしました。
首相答弁を紹介して問いただすと、部長も「正規雇用につなげていくのが好ましい」と答えざるを得ませんでした。
安倍答弁を引き出した日本共産党の国会論戦と青年の運動があいまって、各地で非正規の青年たちを直接雇用する動きも広がっています。
財界はさらに非正規雇用の正当化へさらに規制緩和をすすめようとしていますが、大企業にルールを守らせ、行政にも対応をとらせる、青年に権利を知らせていくなど、取り組みを強めて雇用問題の打開へ全力をあげたいと思います。
財界主導でまともな社会を破壊
石川 これまでの政治も「金儲け第一主義」ではあったのですが、いくらなんでもこれはやっちゃいけないという最低限の節度のようなものがありました。「構造改革」はそれを一切なくしてしまおうとするものです。その経済ルール破壊が、「まともな人間社会」の破壊に達している。
非正規雇用は労働者の生存権を保障しない働かせ方だし、障害者自立支援法は「応益負担」で「金のない障害者は死ね」という法律です。さらに政府は生活が大変な高齢者の住民税、国保料、介護保険料を引き上げている。もはや国民生活はがまんの限界を越えています。
ですから、あまりにひどい政治のあり方と、それに対する疑問や怒りが増しているという、この両面から今の政治をつかむ必要があります。今年の選挙では、この疑問や怒りにどういう解決の道を示すのかが問われるわけです。
堀内 全県をめぐって感じるのは、これまで地域を担ってきた保守的な人たちの間にも「いまの政治はまちがっている」という認識が広がっていることです。淡路で懇談したJAの幹部は、農水省とも太いパイプをもち、懇談の席でも政府の方針を広げて「ここは私が意見を出して書きこませたもの」と示したりする方でした。その方も「経済財政諮問会議が日本の政治をゆがめている」と語っています。
都市部でも昨年の医療改悪について各地の医師会との懇談の中で「小泉改革は間違っている。医療政策では共産党の考えが私たちに一番近い」という声を聞きました。
医師不足や、郵便局の集配業務廃止などをめぐり、地域をあげての運動が広がっています。
石川 「構造改革」の具体的な方針を決めている経済財政諮問会議は、全くの財界主導です。会議の様子が毎回公表されていますが、安倍内閣成立直後の会議などは、 会長の御手洗氏らによる提案を、政府の方針として確認するだけのものでした。「官邸主導」とは「財界支配」ということです。
高まる怒りのエネルギー
石川 こういう政治に対して、昨年の住民税増税の際に市役所へおしかけた高齢者のエネルギー、春の国会に向けて二千万を集めた医療改革反対の署名はすごかったですね。他にも憲法、在日米軍基地、教育基本法など多くのテーマで大規模な集会が繰り返されましたが、国民の怒りが少しずつ行動につながり始めているといって良いのでしょう。
堀内 安倍内閣は昨年暮れに教育基本法改悪を強行、防衛省法も成立させるなど、危険な内閣ですが、その一面で弱さももっていますね。
石川 小泉内閣の負の遺産からスタートするしかありませんからね。「格差社会」への批判をまともに受けざるを得ないし、オール靖国といった閣僚構成にもかかわらず「靖国史観」を前面に出すこともできない。危険だということと、強いということは別問題ですね。
安倍首相は在任中の改憲をいっていますが、九条の会はこの二年で五千六百を超え、兵庫県でも二百近くになっています。学びを通じて、取り組みのすそ野をひろげているのが特徴です。同時にそれが「憲法が目指す日本」のすばらしさを知る機会ともなっている。改憲の悪だくみが、国民の政治的教養と権利意識を鍛える場をつくっているわけです。私の大学でも、学生たちががんばっています。
堀内 ゼミで作られた本を読みましたが、学生たちが歴史を学びなが急速に成長する姿に驚きました。
石川 「慰安婦」問題での取り組みですね。すでに三年になりますが、若い世代は機会さえあれば、すばらしい勢いで成長します。そのことは昔も今もかわりません。これに刺激されてか、最近は「私たちもナヌムの家に行ってきました」という声を良く聞きます。医師の会、女性団体、若い人たちのグループ、学校の先生方などですね。
こうして憲法を守ることと、日本の加害責任を果たそうということが結びついているのは、世界とアジアの中での日本の未来を切り拓くものとして重要な点だと思います。
取り組み育てる党を大きく
堀内 〇五年の衆院選では一つの手応えを感じました。「確かな野党」という打ち出しは、日本共産党の存在意義を、国民感情ともぴったりかみあって示したと思います。
石川 あの衆院選で自民党は圧勝しましたが、議席の数と国民の期待のずれはどんどん大きくなっています。春の国会では、彼らが重要法案と位置づけたもので、成立したのは医療改革だけでした。秋の国会では教育基本法「改正」が成立しましたが、これも崖っぷちまで追い込まれながらのことでした。
議席は多くても国民の支持を得るための大義がない。そこが現在の政治の最大の弱点です。いままで必ずしも政治に強い関心をもたなかった人たちが、生活を守ろう、平和を守ろう、子どもを守ろうと様々な運動に取り組み始めている。その国民の力が自公政治の暴走と四つに組み、これへの強い歯止めとなっています。こうした取り組みを励まし育てる大切な軸として、日本共産党には、もっと大きくなってほしいですね。地域や職場でも大いに存在感を示してほしいと思います。
憲法生かす日本社会を
堀内 先日、雇用問題について駅前で演説をしていると、立ち止まるリクルートスーツの女子学生がいたのです。微妙な距離をおいてはいるものの、最後まで聞いて、すっと立ち去っていきました。
石川 その学生も今の政治に対する「静かな怒り」の担い手なのでしょう。そういう若い世代が「世の中を変える権利が自分たちにある」と気づいた時には、とても大きな力になると思います。十一月三日には憲法を守れと七千五百人がワールド記念ホールに集まりましたが、あの力が「憲法どおりの日本」をめざす改革の力に育てば、政治を変える巨大なうねりが生まれます。今年の選挙はそれを育てる絶好のチャンスといっていいでしょう。
十二月十五日に海外派兵を自衛隊の本来任務と位置づける防衛省法が成立しましたが、自民、公明とともに、民主がその推進者となった点は、きちんとおさえておきたいところです。民主党が明快な改憲推進勢力であることは、もっと強く語られて良いところだと思います。
堀内 青年たちはじめ幅広い―さきほど先生が指摘された、いまの悪政と四つに組んでいる国民のみなさんの力と心通わせ、新たな前進を切り開きたいとおもいます。
石川 期待しています。大いにがんばりましょう。
(文責編集部)
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