以下は、全国商工団体連合会「全国商工新聞」2009年1月26日付に掲載されたものです。
3回連載の第1回を担当しました。
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どう見る09年度予算案(上)〈総論〉
最低・最悪の反国民的予算
消費税増税ありきが明確
年末年始の国民の闘いが、国会の様子を変化させています。非正規切りは許せない、寒空のもと家を奪う大企業は許せない、見て見ぬふりをする政府の姿勢も許せない・・・。こうした国民の声が政治を動かし、野党の連携を強めさせています。
問題は雇用の分野にとどまりません。「構造改革」の長年の被害は国民生活のあらゆる分野に及んでおり、「もう黙ってはいられない」「いまこそ変化をつくる時」と誰もが思わずにおれなくなっています。
12月24日に決定された09年度政府予算案は、自民・公明政治のゆきづまりを象徴的に表わすものとなりました。それは「世界金融危機」を理由に大企業・大銀行支援を最優先して拡大し、それによって国民のいっそう強い反発を招かずにおれないものとなっています。
特徴の第一は、国民生活支援の姿勢をまったく持っていないことです。大企業・大銀行の非正規切りや貸し渋りを野放しにして、深刻化する雇用や中小企業への対策はまったく不十分なまま。
社会保障についても「埋蔵金」による一時しのぎはあっても、毎年2200億円ずつの削減路線は継続です。さらに後期高齢者医療制度は存続させ、生活保護の母子加算を廃止し、私学助成も削減します。これでは景気も良くなるはずがありません。
第二に、その一方、大企業・金持ち優遇を拡充します。海外子会社からの配当を非課税にする、証券優遇税制を3年延長する、銀行への資本注入と株式買い取りのために30兆円の公的資金枠を設けるといった具合です。
またスーパー中枢港湾建設や羽田空港拡張予算は増額し、グアム島の基地建設に新規346億円など、米軍再編に対応した予算を08年度の三倍以上としています。露骨な「大企業中心・アメリカいいなり」の予算案です。
第三に、消費税増税を前提するものになっています。33兆円という巨額の国債発行、基礎年金の国庫負担(2.5兆円)を「埋蔵金」頼みとする、道路特定財源の一般財源化を骨抜きにするなど、最後はどれも消費税増税で埋め合わせれば良いとするものです。痛めつけられた国民に、さらに攻撃の牙を剥くという、最低最悪の反国民的な予算といっていいでしょう。
その中で、中小企業予算はわずか1890億円です。中小企業は全国の従業者総数の77・8%をかかえ、製造業出荷額の47・8%を占める日本経済の「主役」です。しかし、その主役に対して、税金はむしりとっておきながら一般歳出の0.37%の予算しか出そうとしない。このような予算案を前に必要なのは闘いです。
非正規切りとの闘いのように、マスコミの注目を集め、国民の連帯の気持ちをかきたてるような闘いです。大企業は中小企業をつぶすな、大銀行は融資の社会的責任を果たせ、政府は中小企業・業者のはたらく権利を守れ、政府は業者を生きさせろ・・・。2009年のみなさんの闘いに期待します。力をあわせて政治を動かし、生きる道を切り開いていきましょう。
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