以下は、日本共産党「しんぶん赤旗」2012年5月13日、
第8面「本と話題」欄に掲載されたものです。
タイトルと見出しは、編集部がつけてくれたものです。
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政治をつくりかえる内容と方法を探求
志位和夫著『新たな躍進の時代をめざして』
この本は、2010年11月から12年3月までの著者の講演や発言を収めたもので、いずれも日本社会が直面する大問題への日本共産党の立場を、わかりやすく示したものになっています。
問題解決への行動指針示す
取り上げられた主なテーマは、政党とは何か、外交の転換、原発事故からの教訓、震災被災者への支援、日本共産党の歴史、消費税に頼らない財政再建と社会保障充実の道、権力をチェックできない巨大メディアの問題、「2大政党」による政権交代制度づくりの破綻などとなっています。
世の中には同じような問題をとりあげた本はいろいろありますが、この本は共産党の党首の講演録にふさわしく、それぞれをあれこれ論評するだけでなく、一つ一つの問題をどのように解決していくかという行動の指針を示すものになっています。それがこの本の何よりの特徴であり、大きな魅力となっています。
内容に学ばされたことは多々ありますが、なかでもいま特に大切だと思わされたのは、政治の現局面を次の三つの角度からとらえるということでした。
一つは、現在、財界主導での「2大政党」づくりの破綻が明確になっているということ。
二つは、その一方でTPP(環太平洋連携協定)反対、原発ゼロ、沖縄の基地撤去、消費税増税反対といった現在の政治の根本問題で、従来の枠組みをこえた「一点」での共同が大きく広がっているということ。
そして、三つ目は、だからこそ、状況を力ずくで後ろ向きに打開しようとする「橋下・維新の会」のような動きも生まれてくるということです。この最後の流れについては、憲法「改正」に向けた保守政党の慌ただしい動きもふくめることができるでしょう。
状況をこのようにとらえるなら、私たちはまず、目先の問題にふりまわされることなく、政治が財界のたくらみを打ち破る方向に進んでいることに、根本のところで自信をもつことができます。
「一点共闘」の拡大に自信が
また、局面の後ろ向きの打開をゆるさず、「一点共闘」をさらに大きく広げていく方向性にも自信がもてます。それは財界が「2大政党」に行わせてきた政治を、国民の利益を優先する方向に転換するということで、そこに確信をもつならば「橋下・維新の会」などをやみくもに恐れる必要もなくなります。
これらのことをしっかりあたまに置いて読めば、この本が、政治の現局面の構造を、さらに前向きにつくりかえる具体的な内容と方法を探求したものであることもよく見えてくると思います。
本紙読者のみなさんには、自分の言葉でこれらのことを語ることができるようになるために、ペンをにぎって、この本に正面から取り組むことを呼びかけたいと思います。
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