スイスの研究機関「世界経済フォーラム」による「男女格差報告」の紹介から。115ケ国の調査だが,日本は健康・寿命で第1位(同率34カ国),教育で第59位,政治的権限で第83位,経済参加で第83位のトータル79位。上位は第1位スウェーデン,第2位ノルウェー,第3位フィンランドと北欧が占め,アジアでは第6位フィリピンが最高位。
テキストは107ページから。「日本的経営」は終身雇用制,年功序列賃金,企業内組合を特徴としたが,終身雇用制が景気変動に対応するためには,一定の非正規雇用を不可避とし,特に女性をパートの形態でここに追い込むジェンダーシステムをもっていた。
国際比較をしたときに,日本の男女賃金格差は韓国とならびきわめて大きい。背後には男性中心の超長時間労働を確保しようとする経済界の意図がある。これを維持するためには男性と子どものメンテナンスを行う家庭の女性が必要となる。
それが雇用機会均等法の成立や「改正」過程の中にもあらわれる。男性職・女性職を総合職・一般職へとすりかえ,また男女平等を理由に女性保護規程を撤廃し,間接差別の禁止対象をできるだけ小さく制限していく。
11月21日の「ニュース23」が非正規雇用を特集した。賃金で正規の6割,保険がない,明日の雇用も安定しない,少し長い目で見ればきわめて深刻な雇用形態だが,これが全労働者の1/3,15~24才の1/2に達している。日本でこのように非正規の大量化がすすむきっかけとなったのは,90年代半ばからの労働法制改革。そしてそうした社会の仕組みの展開による若い世代へのしわ寄せを,個人の責任にすりかえていくのが「勝ち組・負け組」論。
問題は社会の仕組み,制度にあって,個人間の競争に解消できるものではない。
最近のコメント