前回出してもらった質問に答えていく。
①世界の軍事費。アメリカが圧倒的1位。2位グループにイギリス,ロシア,日本,フランスなどが入るが,これらの順位は毎年のように変わる。2位から9位までの合計金額よりアメリカははるかに多くの軍事費を費やしている。年約50兆円。日本は5兆円。
②産業空洞化によってリストラされた労働者へのサポート。アメリカ型資本主義には基本的にない。自由な競争にもとづく自己責任が原則。EU型の社会的資本主義は,最低限の生活保障の上での競争を原則とする。日本はアメリカ型への「構造改革」の過程にある。
③アメリカが中国を重視することは日本の自立を可能とするか。アメリカに対する日本の従属は大きく2つの側面をもつ。1つは軍事的従属。安保条約に定式化されたような実態。もう1つは過度の経済的依存。第1の輸出市場の地位は,今日に中国にとってかわられている。しかし,軍事的従属から抜け出すとの意思表示はどこにもない。むしろ従属的一体化が進んでいる。
④世界に及ぼしうる日本の影響。1つの方向は憲法「改正」もふくめて,従属的一体化をすすめ,アメリカの支配のもとでの第一の子分として地位を高めようとするもの。実際,自民党の改憲案はアメリカの意向を汲んでのもの。2つ目の方向は憲法どおりの外交を行うもの。自らは戦争に参加せず(自衛を除き),海外の紛争には話し合い解決を求めて間に入る。世論調査では9条は改正しないとの声が多数。
⑤右派とは何か,靖国神社とは何か。フランス革命後の議会で,議長から見て右手に保守・復古派が陣取り,左手に革命派が陣取ったことから,右派・左派あるいは右翼・左翼の呼び名がついた。靖国は明治に「招魂社」の中でつくられた,明治の「革命戦争」にあたり天皇のために命をささげた軍人を顕彰する施設。それが靖国神社と名前を変え,後のあらゆる戦争(指揮官は天皇)での皇軍(天皇の軍隊)の死者を祀るようになった。
今日も靖国神社はこれらの戦争を正しい戦争だったとする独自の靖国史観をもっており,これへの首相の参拝が靖国史観の国家公認の意味をもつと国際的な批判をあびている。現代の右派(復古派)は,天皇中心の政治を求め,天皇批判をゆるさず,靖国参拝を国民の当然の義務だとする。彼らは安倍内閣の重要な支持基盤のひとつとなっている。
次回は回答のつづきとテキスト第2章。
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