卒論初稿の練り上げ作業第2弾。
日本とスウェーデンの社会政策の相違を「母子家庭」に焦点をあてて比較しようという原田論文は、①「母子家庭」のリアルな実像を描くこと、②社会保障(所得保障と福祉の給付)と労働条件の両面から検討すること、さらに、③スウェーデン自体がかかえる課題についても明らかにしていくこととする。
特に「売り手」(買われる側)の意識の変化に焦点をあて、日本の性売買の実態を描き、これの減少を願う渡辺論文は、①歴史の叙述をよりていねいに補足すること、②「売り手」の証言ひとつひとつに対する分析を加えること、③なぜ性売買の減少を願うかという理由を明示すること、④男性の「売り手」と女性の「売り手」の意識の相違が生まれる背景を明らかにすること、⑤一見「自発的」に見える援助交際などが若い世代に広まった社会背景を明らかにするなどの課題を得る。
国際結婚などの際に一斉に吹き出す民族差別の意識を、特に朝鮮人差別に焦点をあてて考える辻中論文は、①とりあえず問題を民族差別に限定し、②特にかつての「先進国」朝鮮を見下すにいたる日本の社会的意識の転換の歴史を検討する、③歴史を学ぶことで差別意識を乗り越えるとする自説をより明快な柱としてたてることを方向とする。
ナチス時代の加害の歴史を乗り越え、ヨーロッパ社会との戦後の「和解」をなしとげてきたドイツの歴史を検討する田中丸論文は、①特にフランスとの戦後の「和解」の過程、②EUの形成と発展の中でのドイツの信頼回復努力を明らかにし、③これと国内における歴史認識をめぐる「思想闘争」の関係を探ることとする。ゆとりがあれば、これに現代の日本が学びうることを追加していく。
少子化が進む日本社会の現状、その原因、予測される影響などを論じた上野論文については、さらに独自に自分のアタマで考える視角の設定を追加の課題とする。そこを明らかにした上で、第2稿への課題と作業の相談をする。
以上で、全員の初稿練り上げ作業は終了。今後は個別の相談は随時行うが、12月6日の第2稿提出に向けた書き直しに入る。それまでの中間報告と相談は、11月15日に行うこととする。
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