まずは最近のニュースから。
①インドのチダムバラム財務相が、10月18日同国に流入する資本規模を当面抑える方策の必要を語った。表向きはルピー高による輸出競争力低下を懸念してのことだが、通貨投機の動きを抑える意味もあるのだろう。
②アメリカとの原子力協定の発効時期について、インド政府がアメリカ側にこれを先のばしすることを伝達した(10月15日)。これは国民会議派政権が、閣外協力をする左派4党の反発を受けてのこと。これによって総選挙は回避されることになる模様。
③第2回「IBSA首脳会議」が10月17日に行われた。WTO交渉に途上国の要求を反映すること、IMF中心型でない南南金融協力を発展させること、期限を定めた核兵器廃絶交渉の開始、テロとの闘いを国連憲章にもとづいて行うことなどを強調。古い大国中心の世界経済・政治の秩序に対して、明らかに新しい秩序の模索と建設がすすめられている。
前回見たビデオ「わき上がる頭脳パワー」に関連して。91年の「新経済政策」を転機に、市場開放をすすめインドは、海外のIT革命と、国内の頭脳立国路線があいまって、IT産業主導での急成長を遂げる。この中で市場の役割をどうみるか。
成長する産業を生み出し、社会の富裕化を生み出した点で、競争の活力は明らかな積極面をもつ。他方、識字率65%のインドは社会全体の底上げが進んでいるという状態ではない。急速に生み出された社会の富が、貧しさの克服にどのようにつながっていくのか。自由競争を補完する政治の役割が大切。
前回選挙で貧困者支援をかかげた国民会議派が勝利したところに、その必要性に対する国民の一定の理解が反映しているのか。
テキストをすすめる。第1章「インド時代」の再来。32~49ページ。インドが「途上国」に国際的地位を低下させたのは19~20世紀の短期間。ヨーロッパの産業革命以前のインドは、すでに高い繊維産業の技術をもち、イギリスに木綿を大量輸出する地位にあった。これがイギリスに産業革命を生み出す強い外圧になったという。
世界はそのように広く相互に作用しあっている。インドの長い海岸線が重要な物品移動の経路となっていること、海は通路であるとの認識も重要。
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