テキスト第3章「インドに急接近するアジアの国々」を読む。
シンガポール国営の投資会社テマセクは、OECDや中国などからさらにインドに投資の分散をはかっている。インド経済圏の中国・ASEANからの相対的な自立性があると判断してのことである。UAE・中国などの政府系投資会社(ソブリン・ウェルス・ファンド、SWF)も、世界市場のあらたな担い手(あるいは攪乱要因)として注目を集めている。
シンガポール政府は、対内直接投資の拡大に向け、法人税減税や国民年金への企業拠出の減額などをすすめている。進出企業数が増えれば、税の絶対額は増加する可能性があるが、他方で、労働条件の低下により政治不安が高まる可能性もある。社会政策のあり方が注目される。
インドとタイの自由貿易協定では、自動車部品の関税引き下げがふくまれた。インドのトヨタ関係者はこれに「当社の働きかけが大きかった」と述べているが、それはすでに形成されている東アジアの生産体制をインドに及ぼす意図があるからである。
最近のニュースから、①平和と経済成長と社会進歩をめざす11月20日の「ASEAN憲章」、②アジア重視、イラク撤退をかかげるオーストラリアのラッド政権の樹立(イラク戦争におけるアメリカブッシュ政権の一層の孤立)、③国際協力銀行の日本企業アンケートにより今後10年の最大の投資先は中国でなくインドとなるとの結果が出たことなどを紹介する。
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