テキスト「第6章・アジア経済におけるインドの役割」「エピローグ-21世紀、日本の国家戦略とインド」を読み終える。
明治の「脱亜入欧」観が、「西洋史=世界」「東洋史=例外史・地域史」という歴史教育の構造を生み、そこからインド・イスラム・アフリカ・南米などが抜け落ちた。だが、中国・インド・イスラム地域こそ近代以前の経済の中心地。「リオリエント」現象は、これが中心から周辺へと向かわされた時期の短期性を示す。
「リオリエント」は今日、「世界の工場」からアジア通貨危機をへて「世界の工場・消費地」へと形で進んでいる。EUの統合は政治主導だったが、アジアの統合は経済・企業主導で。「リオリエント」が、アメリカによる支配の終焉のはじめりと重なっている。
以上でテキスト終わり。前回の「マネー経済」解説の続きに入る。
①世界構造の変化--外交・安保戦略におけるアメリカの孤立、ただし例外的な日本の「新テロ特措法」の成立。
②世界構造の変化--実物経済については、BRICsの成長などアメリカはじめ旧植民地大国の地位低下は明確。
③世界構造の変化--マネー経済については、短期のサブプライムローン問題にとどまらず基軸通貨のドルの衰退という問題がある。
戦後のIMF体制は公正・中立などでなく、アメリカのドル特権を含むもの。国際決済通貨としてドルがつかわれ、アメリカのみが支払いの上限をもたない国となる。しかし、71年の変動相場制への以降以後、1ドル=360円が1ドル=108円となるように、ドルの相対的価値は下がり続ける。
とりわけ2000年以後は、ユーロに対するドルの低下が激しい。目減りする資産をいつまでも持っておく必要はないとの動きが、サブプライムローン危機をきっかけに加速している。
すでにロシア、中東、中国などにドル離れの動きがあり、中東湾岸諸国では共通通貨形成の話も現実的になっている。他方、アメリカはイラク戦争をつうじてユーロに切り換えられていた石油代金の決済通貨をドルにもどしたが、次の攻撃対象として取り沙汰されるイランも、石油代金の80%をすでにドル以外の通貨で受け取っている。これらはドル特権をおびやかす動きとも位置づけられるものとなる。
期末のレポート課題は以下のよう。
「世界構造の大きな変化とその中でのインドの地位について、授業での話題を主な材料にして述べてください」(2000字程度)。
〆切-2月1日午後1時、提出場所-文学部事務室前ボックス。
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