ガイダンス的な授業とする。経済学関係の3つの科目を紹介した後、経済学については「日本経済の現状について、市民としての教養を身につける」ことを課題にかかげる。
むずかしい理論や学説史ではなく、自分がいま生きている現実の経済の動きが少しはわかるようになるということ。とりわけ今期は「マネー経済・投機の経済」に焦点をあてる。テキストは『金融化の災い』。
イメージづくりとして、サブプライムローン問題を紹介。証券投資の世界の混乱と、それによる現物経済への大きな悪影響の問題である。
①アメリカの不動産バブル(住宅価格の継続した上昇)をもうけの前提に組み入れた融資であるサブプライムローン、②その債権(カネ返せという権利)が他の様々な証券とミックスされて販売される、③ミックスされた金融商品の安全度については格付け会社が勝手に高い評価を与える、④投機利益を求める競争の中で転売が繰り返されるが、⑤06年に不動産バブルが終わり、債務不履行が発生する、⑥その結果、最終的にこの債券を抱え込んでいた投資銀行(やそれに融資していた機関・個人)等に巨額の損失が生まれていく。
この結果が、①ローンを組んだ個人からの家(担保)の取り上げ、②巨額の損失を出した金融機関の破綻、③投資家(機関)たちの証券市場からの資金の引き上げ、④金融業界全体の貸し渋りの拡大、⑤引き上げられた資金の原油・食料市場などへの投下と急速な物価高の形成、⑥損失が集中するアメリカ金融機関やアメリカ経済に対する世界的な不信と不安を生み出している……。
状況の連鎖はいまもつづくが、さて、どういう対処が求められるのか。
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