映像「NHKスペシャル 揺れる大国 プーチンのロシア プーチンのリスト 揺れる国家資本主義」を見る。
〔映像の内容〕
ミハイル・スリペンチュク氏は新興財閥・メトローポルの経営者/リーマンショックによって海外資金がいっせいに引き上げ/国家資金への期待が高まる
プーチン首相、メドベージェフ大統領/50兆円の外貨(多くをしめるオイルマネー)/国家戦略上、重要企業を救済する、国益・外貨をかせぐ企業の選別/295社のリスト「プーチンのリスト」、国が存続させると認めた企業のリスト
石油会社などを国有化し、意にそわないものをつぶしてきたプーチン/危機に陥った企業はリスト入りをかけて国家との関係を深めていく/「国とうまくやっていけるものだけが生き残る」、独自の国家資本主義への動きを加速
3年で6倍にふくらんだロシアの株式市場、3週間で30%ダウン(リーマンショック)/メトローポルの中核は証券部門、壊滅的打撃、都市開発部門も窮地に/全部門の給料を10月1日からカット、月給100万以上は30%削減/08年9月(リーマンショック直前)には、海外リゾート事業に乗り出すためにヨーロッパをとびまわり、モンテネグロの周囲5キロの島を50億円で買収、ロシアの富裕層向けに/7%前後の経済成長、流れ込む大量のマネー、証券・観光・都市開発などに事業拡大
スリペンチュク氏は1965年シベリアの地方都市生まれ/モスクワ大学へ、ソ連崩壊と市場経済化の激動を体験/学生時代に衝撃を受けた映画「ウォール街」/国家が経済を統制する時代から、個人の能力で切り拓く時代、そこにロシアの未来を見た/証券マンになっていく、14年前会社設立、誓い・決して国の金には頼らない/ロシア革命以前の状態(強い商人のいたロシア)にもどってほしい、シベリアの両親にカンヌの別荘をプレゼント
新興財閥の成長をささえた海外マネーがリーマンショックで消えていく/海外からの借入でのびてきたロシア企業は窮地に、巨額の借金をかかえるように/08年9月下旬、オレグ・デリパスカ氏・ロシア最大の新興財閥が経営危機に/アルミ、石油、レアメタルなど、世界の長者番付に/1兆6000億円の債務返済を迫られる
莫大な資金をかかえていたロシア政府/石油・天然ガスの輸出による外貨を国家が蓄積する仕組み、50兆円の外貨/「危機は乗り越えられる」(プーチン)、救済リストづくりを命令、選ばれると経営権を国ににぎられる可能性がある
10月初旬、スリペンチュク氏、市場経済で国の資金にたよるべきでない、頼みの綱は鉱山事業、亜鉛(世界最大級の鉱山)、10月下旬、カナダの会社が経営参加をことわってきた(世界的な金属価格の低下で)
92年エリツュィン大統領、自由化による新興財閥の誕生、大統領をしのぐといわれる権力を/2000年プーチン大統領、国益に反する財閥を排除、資源など基幹産業を国有化、経済大国へ、経済界は国の発展に貢献せよ/2003年ロシア最大の石油会社オーナーを脱税で逮捕、油田・精油所などを国が没収/ガスプロム(最大の天然ガス産業)にメドベージェフ会長を送り込む、デリパスカ氏(国の方針に協力した)のアルミは民間企業のまま
プーチンの独自の資本主義/プーチンのリストによる国家資本主義のさらなる徹底/08年10月、50兆円の資金の一部を財閥に、対外経済銀行(国営)に5兆円/対外経済銀行はプーチン首相が経営トップ/企業の審査を開始、国家戦略・外貨獲得に役割があるかどうか、ドミトリエフ総裁、国が送り込む役員を経営陣に加えることが条件、支援は慈善ではない
ペルーリマでの国際会議にデリパスカ氏(莫大な債務)、メドベージェフ大統領に寄り添うように(国のカネにすがった)/スリペンチュク氏はキルギスでの会議で、メドベージェフ大統領等と、「国の金に頼らないとしてきたが変わるかも知れない」、メトローポル本社で、国は融資と引き換えに資産を取り上げていく、しかし今金をもっているのは国だけ、
11月プーチンのリストに入るためにシベリアの鉱山開発をアピール/われわれは国家資本主義の道を進んでいる、国とうまくやれなければ脱落する、12月ブリヤート共和国の亜鉛鉱山事業が危機に/アフリカのコンゴ(キンシャサ)へ(ダイヤモンド・金・銅など世界有数の埋蔵量、内戦があり多くが未開発、開発権を求めて)/クリメンコ大使、興味深い提案を中国が、採掘機器を提供して採掘権を入手する/コンゴ・カビラ大統領と15分の予定が90分に、スリペンチュク氏の会社がコンゴ進出の窓口になることで合意
12月25日、295社プーチンのリスト発表/資源会社にはデリパスカ氏のルスアルなど、エネルギー、軍事も/スリペンチク氏の会社はもれた、2ケ月の奮闘は実らず
2010年1月ダボス(スイス)会議/基調演説プーチン首相、アメリカ金融機関は地に落ちた、ロシアには巨額の外貨がある/会場にはデリパスカ氏、4500億円の資金とひきかえに国から役員を受け入れた
プーチンは次に「プーチンのリスト」2次リストの選定を命令/スリペンチュク氏のはたらきかけはつづく、ブリヤート共和国大統領と面会、亜鉛鉱山の開発が欠かせないと、ナゴビツィン大統領は2次リストの推薦人に名をつらねている
支援と引き換えに基幹産業を手にいれていくプーチン、関係をふかめていく新興財閥、世界の経済危機の中で、ロシアは独自の国家資本主義の道を突き進んでいる
〔補足〕
1917年ロシア革命・レーニン/1930年代スターリン独裁(53年死亡)/57年フルシチョフの「スターリン批判」/85年ゴルバチョフ「ペレストロイカ」/91年エリツイン・ソ連崩壊/00年プーチン、10年メドベージェフ
BRICS各国の多様性/「社会主義」をかかげた国家統制から「資本主義」をかかげた国家統制へ/民主主義の成熟に大きな課題/プーチン流国家資本主義の弱点(支配の強化は、支配の結果に対する責任を負うこと、政治的にも経済的にも)
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