ベネズエラの原油を優遇「価格」で提供する国際協力組織「ペトロカリベ」の加盟国が17ケ国に達している。
またアメリカ国内の低所得者に対する石油の割引提供に、ベネズエラ政府が参加する。他方で、アメリカ石油資本はひとつも応じなかった。
さて、アメリカ政府はこれをどう見るか。
ラテンアメリカ・カリブ地域のすべての白内障患者の手術のために、キューバが手術と医療費を、ベネズエラが渡航費と滞在費を負担し、すでに85万人が治療を受けたという。
「連帯の精神」というのは、いずれにあっても大きな仕事をするものである。
石油優遇供給が効果 ベネズエラと中米カリブ諸国 貧困克服へ首脳会談(しんぶん赤旗、12月24日)
【メキシコ市=松島良尚】原油価格の高騰に苦しむ中米・カリブ海諸国に産油国ベネズエラが優遇条件で石油を供給し域内の経済、社会発展をめざすエネルギー協力機構「ペトロカリベ」の第四回首脳会議が二十一日、キューバ中部のシエンフエゴスで開かれました。採択された宣言は、「ペトロカリベはすでに現実のプロジェクトとなって効果を生んでおり、連帯と協力、統合の精神を示している」と強調しています。
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ベネズエラのチャベス大統領は会議で、エネルギー資源の取得に有利な国と不利な国のアンバランスの問題を解決するためにペトロカリベが創設されたと指摘。「統合、統一、さらに解放への機構だ」「帝国主義や大資本の利益のためではなく、諸国民のための新しい石油地政学が強まりはじめている」と強調しました。
また、石油代金の支払いは、ベネズエラがキューバなどと行っているように、生産物や人的サービスでも可能とし、加盟国間のバーター取引も呼びかけました。たとえば、市場価格の六割で供給し、決済をバーター取引で処理、残り40%を低利・長期のクレジットで提供します。
宣言は、ペトロカリベについて「エネルギー安全保障の重要な道具」「資源の乏しい国々に対する特別措置と連帯の原則にもとづく発展途上国間の協力モデル」と規定しています。
また、この枠組みで行われた医療、教育分野などにおける社会政策の前進を確認し、ペトロカリベの主な目的が貧困克服にあることを確認。ペトロカリベによって節約できた資金を引き続き社会投資にあてる必要性も指摘しています。
ペトロカリベはチャベス大統領の提唱によって二〇〇五年六月に設立され、ベネズエラやキューバなどがめざす地域統合「米州ボリバル代替構想」の発展と並行して歩んでいると位置づけられています。今回の首脳会議で中米ホンジュラスの加盟が承認され、加盟国は十七カ国。ほとんどはカリブ海諸国です。
カリブ海地域 「連帯と助け合い」の風(しんぶん赤旗、12月24日)
戦争や弱肉強食の市場原理主義に対抗して、社会的な連帯と人権尊重の精神で協力し合おうという国レベルのイニシアチブが、米国の足元のカリブ海地域で発展しています。
暖房燃料安価に
ベネズエラ政府はこのほど、米国内の低所得世帯に対する今年の暖房支援計画を発表しました。
米国内の二十三州の都市で二十二万四千世帯を対象に、暖房用石油を市価の二―四割引きで提供するとしています。これにかかる費用は総額一億ドル(約百十三億円)とされます。
この政策は、二〇〇五年に米南部を襲ったハリケーン・カトリーナの被災者支援に際してチャベス大統領が提唱したもの。米国内で操業しているベネズエラ国営石油公社の子会社CITGOが、各都市の市民援助団体と協力して進めてきました。
今年の事業開始式が十三日、ワシントンでありました。
民間団体「シチズンズ・エネルギー」のケネディ会長は「支援への参加を米国の石油企業に呼びかけたが、一千億ドル近い利益をあげているエクソンを含めて一社も応じなかった」と指摘。「戦争に多額の費用を投じながら、庶民泣かせの石油高騰に何の手も打たない」とブッシュ政権を批判しました。
無料手術百万人
キューバとベネズエラが協力して進めている白内障の無料手術をうけた人が、百万人に達したことがこのほど明らかにされました。
「奇跡の計画」と名付けられたこのプロジェクトは、当初は両国民を対象に始まりました。その後ラテンアメリカ・カリブ海地域の、すべての白内障患者の視力を取り戻そうという壮大な計画に発展しました。
毎年六十万人ずつ、二〇一六年までに六百万人を治療しようという目標を掲げています。
患者の負担は一切なく、手術はキューバで実施し、医療費も同国が負担。渡航と滞在の費用一切はベネズエラ政府が負担しています。
「百万人達成」は、キューバのカストロ議長がこのほどハバナで開かれた温暖化対策専門家の円卓会議に寄せたメッセージで明らかにしました。キューバ人十五万人のほか、三十一カ国から八十五万人が手術を受けたといいます。
カストロ議長はこのなかで、イラクやアフガニスタンで戦争を続ける米政府が七千億ドル近い軍事費を費やしながら、地球温暖化対策に後ろ向きになっていると批判。地球環境の問題には、市場や競争の原理ではなく、全人類的規模での「連帯と人権尊重の精神で対処することが必要だ」と強調しました。
会議では「競争や支配、搾取」につながる米型資本主義や新自由主義の横暴に対抗して、社会的な連帯と協力、互恵のネットワークを広げる重要性が論議されました。(田中靖宏)
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