野田内閣の発足にあたっての財界総本山・日本経団連のコメントと要望。
①自民党との「協力」で、すでに財界がもとめてきた政策をスピーディに実施せよ、というのが基本にあって、
②その内容には、「重い法人税・社会保障負担」なんていうデマがあって、
③「行き過ぎた温暖化対策」への批判や、あいかわらず原発にしがみつく「ベストミックス」論があって、
④ちゃんとやってくれないと「海外に活路」を見いだすというわがままな恫喝もあって(実際には進出先の東アジアの方が電力事情は悪く、だからこそ製造業多国籍企業は現地での安定的な電力確保に向けて日本からの原発輸出を求めてきたのだが)、
⑤法人税は下げながら、消費税は増税するという恥を知らない手前勝手もあって、
⑥地方自治を大企業本位の「地方経営」に転換する復興庁・道州制の東北からの導入が、あらためて強調されている。
しみじみと思うね。日本は資本主義の社会だねえ。
「大企業の利益がもっとのびないと日本経済はますます大変になる」という、「原発の安全神話」に類した「大企業利益神話」からも、もうそろそろ脱却していかなければ。
「大企業が潤えば、いまに国民生活も」「大企業が潤えば、いまに被災者の生活」も。
そういう路線が導く悲惨は、97年をピークとした庶民生活の絶対的貧困化と、先進国中最悪の「格差社会」にすでにあらわれているのだから。
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野田新内閣発足に関する米倉会長コメント
2011年9月2日
(社)日本経済団体連合会
随所に政策通を配した、手堅い布陣であると思う。
野田新内閣には、野党の協力を得て、震災からの早期復興、社会保障と財政のたて直し、過度な円高への対応と経済の成長戦略、TPPをはじめとする経済連携など、重要政策課題のスピーディな実行に邁進していただきたい。
経済界としても、新政権の政策遂行に全面的に協力していく所存である。
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新内閣に望む
2011年9月2日
(社)日本経済団体連合会
欧米の金融資本市場の混乱により、世界経済は混迷の度を深めている。こうした中、わが国は、震災からの早期復興に加えて、歴史的な高値水準にある円相場、グローバル競争の激化、急速に進む高齢化や少子化への対応に、一刻の猶予も許されない状況にある。円高に加え、長引くデフレ、重い法人税・社会保障負担、行き過ぎた温暖化対策、硬直的な労働規制、経済連携協定への取り組みの遅れ、さらには電力供給不足などの成長阻害要因が克服されなければ、企業は海外に活路を求め、国内の雇用も減少せざるを得ない。
新内閣においては、政治に対する内外からの信頼を取り戻しつつ、国民各層との対話を深めながら、強力なリーダーシップを発揮し、下記の重要課題に迅速に取り組んで頂きたい。
記
1.震災からの早期復興に全力で取り組む。その一環として、第三次補正予算を早期に編成する。また、道州制も視野に入れ、早急に、復興庁の設置など復興に向けた強力な体制を整備するとともに地域の発意や創意工夫を活かせる復興特区を導入する。
2.行き過ぎた円高に対し、為替介入の実施を含め断固たる措置を講ずる。
3.日本の強みを活かした成長戦略を実行する。特に、TPP交渉への早期参加、日中韓FTA及びASEAN+6の促進、EUとのEIA交渉の早期開始等を通じて、高いレベルの経済連携を実現する。また、法人税率の大幅引き下げなどを通じて国内の立地競争力を向上させ、産業の空洞化に対する懸念を払拭する。
4.当面の電力の安定供給を確保するとともに、中長期的な視点から、経済成長に不可欠なエネルギーのベストミックスを構築する。併せて、温暖化対策を見直す。
5.国民の将来不安の解消と財政健全化を図るために、消費税率の引き上げを含めた社会保障と税・財政の一体改革を着実かつ遅滞なく進める。
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