以下は、分科会討論のまとめ「働くことと子育て/したたかに。はげましあって。」。
全国保育合研の「分科会1 働くことと子育て」のまとめ。
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■提案について
(1)京都市のたかつかさ保育園保護者の山本奈美さんから,現在の労働条件では長時間の保育を利用せざるをえないが,子どもたちの「心身ともに豊かな時間」を考えると迷いもあると,率直な現状の報告が行われた。6時半には補色的なオヤツを出すなど,保護者との話し合いを大切にしている園の努力の様子も見えた。
(2)高槻市の保育運動連絡会の中川欣子さんからは,働くことと子育ての両立が「当然」だという職場の理解を切り開く努力が報告された。フレックスタイム制が活用しづらい,「男社会」としての会社の実態,女同士のあつれきもあるという複雑な現実のなか,「ド厚かましいくらいがちょうどいい」とたくましく生きる構えの提起か行われた。
■討論について
働くことと子育ての両立には,(1)ヨーロッパ等に学び「ゆとりある社会」をつくることと,(2)目の前にいる子どもたちの育ちを保障することの2段構えの取り組みが必要となる。発言は両者にまたがったが,特に午後からは柱を後者にしぼって議論した。
長時間の保育所利用で,夕食をほとんど保育所にまかせている。夜遅くしか子どもに接する時間がもてない,忙しいとつらくあたってしまうという声がつづき,こうまでして働くことに意味があるのかという自問の声もあった。これには「なんでもやろうと無理をしすぎないこと」「自分なりに妥協点をみつけることが大切」というアドバイスが,保護者からも保育者からも返された。また,近所づきあいで年輩の方に子どもを安心して預けられる関係ができた,子どもがふえると子育ても気楽になるという先輩からの声もあった。現状の厳しさとともに,それを乗り越える上での連帯の大切さが伝わる議論といえる。
職場での苦労についても多くの発言があった。産休や育休をとるのは私が初めて,子どもが病気をしても休めない,お迎えの時間にあわてて職場を出ると白い目で見られる等。これには若い人や子どもがいない人には「子どもの具合が」といってもわからないけど,「自分の具合が」というと話がつうじやすいという裏ワザも披露され,また育児休暇など「制度を新しくつくる」のは大変だが,すでにあるものを「修正してほしい」という願いは受け入れてもらいやすいという事例も紹介された。職場や社会を少しずつでも変えていく,こうした努力の積み重ねは大切である。
■来年への課題
終盤に大きな話題となったのは,働くことと子育ての両立が,なぜもっぱら女ばかりの苦労となるかの問題である。育児休暇をとった男性の出席者もあったが,参加者のほとんどは女性である。育児休暇が男性にも義務づけられている国がある,男の家庭責任もふくめた議論が必要だ,男女で話し合えるように分科会の持ち方にも工夫がいるといった声が出る。子育てへの「男女共同参画」とはどういうことであり,それを可能とする「社会」のあり方はどういうものであるべきか。議論の仕方には工夫が必要だろうが,確かに,避けることのできない課題と思えた。(文責・石川康宏)
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