以下は、新日本出版社『経済』2010年7月、第178号、163ページに掲載されたものです。
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たくさんの感想をいただきありがとうございました。手にあまるテーマでしたが、「やれるところまでやってみよう」という気持ちで挑みました。
「独占資本主義=帝国主義」という一世紀前の探求を、現代をとらえる型紙にしない。この問題提起をきっかけに、世界の構造変化をとらえる様々な着目点が生まれてきました。
脱植民地化の道をくぐりぬけ「社会的市場経済」をめざすEU、
脱植民地化に乗り遅れ「新自由主義」からも抜け出せずにいるアメリカ、
アメリカへの追随により外交・経済の先が見えなくなった日本、
生産と消費の世界的拠点として成長するBRICsやネクスト・イレブン、
社会主義をめざすキューバを含んだ「中南米カリブ海諸国機構」、
市場を活用して社会主義をめざす中国やベトナム、
中国との深いかかわりのもとに成長を開始したアフリカなど。
これらの変化を、現代の世界史に立体的に位置づける創造的な精神が必要です。
変化の進歩性をはかる基準としては、貧困との闘い、恐慌の制御、環境問題への挑戦、民主主義の発展などが重要でしょう。
東アジアについては、発展の内的論理をしっかりとらえることが急務です。
封建制から資本主義への転化、
植民地支配など外圧の影響、
独立後の国づくりの実態、
中国革命とその後の歴史など。
それらの検討をつうじて社会発展史の新展開をつくる。それぐらいの構えが必要です。
視野を広くもった、理論の模索が求められる時代なのだと思います。
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