以下は、日本共産党『しんぶん赤旗』2010年8月4日、第10面に掲載されたものです。
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「慰安婦」問題 解決求める
広がる自治体の意見書可決
各地の自治体で日本軍「慰安婦」問題の解決を求める意見書を可決する取り組みがすすんでいます。大学で「慰安婦」問題のゼミを行なっている石川康宏さん(神戸女学院大学)に書いてもらいました。
●「慰安婦」問題とは
日本軍「慰安婦」問題はアジア太平洋戦争のなかで、日本軍が組織的に、兵士の「性的慰安」を目的として、各地の女性を「慰安所」に閉じ込め、レイプを繰り返したという問題です。
被害者は数万人とも十数万人ともいわれています。軍の史料で確認できる最初の「慰安所」は、1932年に上海につくられたもので、各地の被害者には10代前半の「子ども」も少なくありませんでした。
●日本政府の対応は
1991年に韓国の元「慰安婦」金学順(キムハクスン)さんが、日本政府に賠償と謝罪を求める訴えを起こしました。それをきっかけとした調査にもとづき、93年には河野洋平官房長官が「お詫びと反省」の談話を発表しました。しかし戦後処理は政府間で終了しているとの立場から、被害者への個人補償は行なわれません。
95年から「アジア女性基金」がいくつかの国の被害者に「償い金」を支払う活動を開始しましたが、政府の公式謝罪でないなどの理由で、多くの被害者から批判をあびました。
07年には安倍首相が「狭義の強制はなかった」「河野談話を見直す」と述べて大問題になりましたが、加害の事実を否定する声は、河野談話以後も少なくない閣僚から繰り返し出されています。
●世界各地からの批判
安倍発言があった07年、アメリカ下院は日本政府に反省と謝罪を求める決議を採択しました。カナダや欧州議会も同様の決議をあげました。
アジア以外の地域にこうした動きが起こったのは、戦争の下での性暴力を根絶しようという世界的な取り組みの発展があったからです。
戦時性暴力をなくすには、過去の犯罪に対する、不処罰の連鎖を断ち切る必要がある。そういう今日的で、人類史的な課題の達成という角度から、「慰安婦」問題はあらためて世界的な注目をあびたのです。
●自治体の意見書は
自治体の意見書は2008年3月に宝塚市議会で可決されたのが初です。問題の誠実な解決を政府に求める意見書は、7月26日現在で全国29の自治体からあげられています。これはそれぞれの地域での市民と地方議員の共同の結果です。
意見書は札幌、福岡、堺といった政令指定都市でもあげられており、宝塚、京田辺、生駒のように全会一致のところもあります。目に見える形で問題解決への世論をつくる、新しい重要な取り組みといっていいでしょう。
被害者の高齢化はすすんでおり、私が学生たちとお会いした被害者も、残念ながら次々亡くなっているのが現実です。
一人でも多くの被害者がお元気なうちに、全国からの決議で国を動かしたいと思います。全国のみなさん、力をあわせましょう。
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