以下は、「民主青年新聞」2015年2月16日、第2面に掲載されたものです。
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マルクスで、経済格差の「なぜ」を知ろう
資本主義の長い歴史は、格差拡大の歴史である。これをピケティは多くの資料を用いて整理しました。現状は民主主義に反しており、問題解決には累進課税の強化が必要である。アベノミクスへの批判を含めて、その主張には共鳴できるところがあります。
しかし、ピケティは「なぜ」そのような現実が生まれるかという資本主義のメカニズムについては、ほとんど何も語っていません。
なぜ格差拡大なのか、なぜ20世紀の一時期に改善が見られ、1980年代に逆転が起こったのか。目に見える変化の背後に何があるかを探求するのが社会科学であれば、残念ながらそのような切り込みは非常に浅いということです。
「なぜ」を考えたい方には、マルクスをお勧めします。マルクスは150年ほども前に、資本家と労働者の経済格差の根本を「資本主義的蓄積の敵対的法則」として究明しています。
なぜいまブラック企業か、なぜセレブとホームレスか、なぜ消費税増税で法人税減税なのか。そのからくりを、資本主義の歴史的限界とともにとらえることができます。
高田太久吉「トマ・ピケティ『21世紀の資本論』を読む」『経済』(2015年1月号、新日本出版社)、拙著『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)を参考にして下さい。
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