安倍氏訪中について。日本の首相の5年ぶりの北京訪問。懸案の靖国問題については「あいまい戦術」で対応する。これを中国側は「在任中は参拝しない」と理解し,記者会見で世界に発表。安倍氏は根っからの靖国派だが,その本音を語ることができなくなっている。
かつての戦争を肯定するその主張は国際的にも異常であり,それが財界の対東アジア経済戦略にとっても大きな障害となってきた。他方で,万が一「参拝」があった場合には,日本政府は「嘘つき」と指弾され,国際的孤立はますます深まることとなる。靖国派から「裏切り者」(桜井よしこ氏),「困惑している」(八木秀次氏)といわれても,もはや後戻りはきわめてしづらい。
テキスト第2章「中国政府の政策決定メカニズム」を読んでいく。為替レート変更の決定につながるメカニズムが焦点。メカニズムの特徴の第一は,共産党が政府の上に立って意志決定をする機関となっていること。日本の内閣にあたりる国務院は,党の決定に従うものとなっている。第二に,人的には胡耀邦(党総書記)・温家宝(総理)氏がその中心に立っている。
第三に,すでに市場開放の一環として為替の自由化推進は,中国政府にとっては既定事項。第四に,中国では5年周期で大きな意志決定が可能であり,それが次は2007~8年にあたっている。為替レート(元切り上げ)についても,この時期にむけて新たな政策決定が準備されている可能性がある。
特徴の第一にかかわり,テキストは党と政府の一体性が,日本の自民党と政府の関係にも類似すると指摘する。自民党内部の決定が政府にそのまま持ち込まれる「55年体制」を念頭してのことである。しかし今日の「官邸主導」は少なくとも経済政策については自民党主導を「経済財政諮問会議」主導へ変更しようとしていくもの。
政府が独自の意思決定機能をもつのは当然だが,新たな問題はそれが国民による選出をへない「民間議員」の主導となっていること。国民主権の新たな形での形骸化である。「官邸主導」の実態は「財界主導」ということである。
次回は第3章にすすみ,経済の話題にもどっていく。
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