第1回の授業。3つの経済学科目「現代社会と経済学」「経済学」「比較経済論」の関係と難易度を解説。「経済学」は「大人の一般教養」としての経済理解をめざす。前期は「構造改革」について,後期は「日本の財界」に焦点をあてていく。
以下,経済学のごく入門的な解説。経済学は社会科学の一分野として,特に人間の生活を主に物的にささえるモノの生産・流通・消費の仕組みを明らかにする学問。日常生活に必要なモノのほとんどは人間によって作られたもの。誰がどこでつくったかを知らないまま,人はスーパーやコンビニでこれを手にして消費している。つまり「作る(生産)」という過程と「消費者の近くへとどける(流通)」という過程があって,人の生活は成り立っている。
生産や流通を担っているのは多くは企業。企業を構成する人間関係は多様だが,その基本となるのは「雇う人」と「雇われる人」との関係。就職活動とは自分を「雇う人」を探すことで,就職するというのは自分が「雇われる人」になっていくということ。「雇われる人」は「雇う人」の事務所や工場へ出勤し,働くエネルギーを支出し,そこに儲けを生み出し,かわりに給料を受け取って,その金額で生活する。両者には,力をあわせることで企業が成り立つ側面と,エネルギーをどの程度支出し,また給料をいくら渡すかという利害の対立の側面がある。
他方,物的生活には政治をつうじて支えられる側面もある。政府は年間80兆円のお金をつかっているが,それが人の暮らし(たとえば教育,医療,福祉など)を支えることに使われるなら,それは給料の制約をこえる豊かを生む。日本の学費はなぜ世界一高いのか。また政治がさだめるルールが,対立をははらむ労資の関係をどう調整するかも大問題。サービス残業,偽装請負なども。尼崎の松下への175億円の補助金,但馬空港の年収265万円のように身近な兵庫県での税金の使い方の問題も。
次回からはテキストに入る。受講者数には上限があるので,選抜に必要な出席表を提出してもらう。発表は数日のうちに教務課の掲示板に。
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