テキスト第1章第1節「情勢を見る問題意識」のつづきから。
1つは,60年安保で原型がつくられる,アメリカに対する日本の軍事的従属。2つは,それを推進した日本の政治の流れが,実はアジアへの侵略戦争や対米戦争を推進した当事者たちによるものであることを補足。
加えて日米経済関係の原型についても,IMF体制のもとでの強制されせたドル依存が,アメリカ市場への過度の輸出依存をつくっていくことも。
第2節「財界の政治支配」について。アメリカ依存・財界依存・官僚依存という日本の政治の他力本願3層構造を紹介。
日本経団連が財界の意思決定と実行の組織,経済同友会は研究と調査,日本商工会議所は全国の商工会議所を束ね,地方の中小企業にも大企業本位の考え方を浸透させるための組織。
日本経団連は自民党と民主党に政治献金の斡旋を行い,さらに政府(自民・公明政権)に対しては,いつでも「意見書」を提出する。実態は政治の買収。さらに民主党への献金は,自民党が下野する事態への準備策。
経済同友会は次期代表幹事を桜井正夫(リコー,外資比率39%),日商は次の会頭を岡村正(東芝,22%)にそれぞれ年内に交代する。それによって3団体すべてが電気機械メーカーとなる。
第3節「アメリカによる世界戦略の新展開」について。第一次大戦から第二次大戦のあいだにアメリカの経済力はイギリスを凌駕し,第二次大戦期には世界支配の野望を明確にする。
だが,第二次大戦は「社会主義」を名乗る国を大量につくりだす変化も生んだ。
そこで47年のトルーマンドクトリンは,①アメリカのための世界支配,②ソ連封じ込めの2つの大戦略を打ち出すことになる。後者が東西冷戦・米ソ対決と呼ばれる。
91年のソ連により戦略の②は不要となり,①の新たな展開が主にクリントン政権のもとで行われる。1つは国連にしたがわない軍事戦略,2つはアメリカ多国籍企業の本格的展開とこれに見合った他国の「経済構造改革」。
アメリカの軍事戦略が経済戦略と密接に結びついていることについては,当事者たちからの証言がある。
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