テキスト31~40ページをやっていく。
第3節「財界の国際戦略」。その基本はアメリカの世界戦略に追随すること。経済的には、製造業多国籍企業の到達点にふさわしく、アメリカの経済グローバリゼーション戦略を支持し、国内市場の開放と規制緩和、東アジアに対する市場開放の強制、WTOをつうじた世界の市場開放を促進しようとする。
他方、軍事戦略についても財界は明快なアメリカ追随の方針をもつ。アメリカの「国連を活用する」には、日本の常任理事国入りの要望が対応し、「国連に従わない」には日本の海外派兵促進の路線が対応する。
常任理事国入りは、国連の民主化(常任理事国への途上国や大陸代表等の参加)の観点から、日本の加入は困難となってきているが、新ガイドラインの締結、集団的自衛権の行使、憲法「改正」と、経済同友会・日本経団連ははっきりとこれを求める立場に立っている。
これらは最近になってのことではない。それは90年代半ばの諸文書に明らかであり、海外派兵路線の背後に「経済的利益」への強い衝動があることには注目がいる。
第4節「ゼネコン国家化」。90年代のゼネコン(土建)国家から、「構造改革」をへて、製造業多国籍企業主導型の国家への、主たる経済政策の転換が行われていく。これに対応して、90年代に年額45~50兆円だった公共事業費が、2000年代には30兆円にまで低下する。
とはいえ30兆円の金額は依然として世界一であり、日本政府の経済戦略はグローバリゼーション型とゼネコン国家型が、前者を主として共存するものとなっている。ただし、公共事業の内容には、地方の予算を削減し、これを東京・大阪・名古屋など都市部に集中することでスーパーゼネコンの利益を確保する戦略がとられている。
最近のコメント