最近のニュースから中国の「労働契約法」を紹介。2008年1月から、労働者の権利は大きく安定の方向に向かうことになる。
アメリカ型の企業自由主義には与しないということである。これによって中国に進出する企業の人件費は上昇するが、そのことは、日本から中国への雇用流出を抑制し、また中国と競争できる人件費を理由とした賃下げ圧力をも緩和する方向にはたらくものとなる。
もう1つ、あらためて昨年11月の「中国・アフリカサミット」を紹介。アフリカ53ケ国中48ケ国から3500人の代表を招いたサミットは、「共同発展・共同繁栄を実現する」という宣言を採択した。
フィナンシャル・タイムズは新しい植民地主義と中国への警戒心を示す記事を掲載するが、貧困の克服にもっとも成功している中国のアフリカに対する協力は重要だとする世銀総裁による反論記事も掲載された。
関連して世界構造の大きな変化をとらえていく。
20世紀初頭には、少数大国が世界全体を分割していたが、その仕組みに大きな変化が起こっていく。1つはロシア革命(植民地解放を含む)、2つは戦後の植民地主義の崩壊、3つはソ連・東欧の崩壊と米ソ対立体制の終焉。
これにより、現代世界は大きく4つのグループにわかれる。1つは発達した資本主義(9億人)。米ソ対立の終焉により西側内部に亀裂が入り、一国覇権主義と新自由主義を特徴とするアメリカ型と、国連重視・社会的資本主義を標榜するEU型への分岐がすすむ。
2つは社会主義をめざす国(14~15億人)。かつてのソ連に見られた統制経済型ではなく市場を活用する中国・ベトナムが大きな成長をとげている。購買力平価での世界に占める中国のGDP比率は2005年で15.4%。課題は政治的民主主義の成長にある。
3つはアジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国(35億人)。資本主義タイプでの経済成長に成功した国は少ない。インドも中央政府にインド共産党(マルクス主義)が閣外協力をしており、3州についてはインド共産党が与党となっている。南米ではアメリカン・グローバリゼーションからの脱出の動きが顕著であり、ベネズエラは新たに社会主義への道を模索している。
4つは旧ソ連・東欧地域(4億人)。東欧はEUやNATOへの接近が強いが、他方に「上海協力機構」(ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、中国)という共同体づくりもある。モンゴル、インド、パキスタン、イランもオブザーバー参加している。
アメリカなど一部大国の動きだけから世界全体の変化を推し量ることは、もはやできない。この4つのグループごとの動きを念頭して、毎日のニュースをとらえると、問題の性質がよくわかる。
中国・アフリカサミットも、こうした世界構造の新たな変化をつくるものである。
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