第1章「基礎的データにみる日本経団連の変貌」に入る。
金融関連資本をのぞいた、経団連役員企業についての分析である。
「1・企業規模の巨大化」 1社あたりの総資産・売上とも70年から06年で9倍以上に増えている。
「2・産業構造の高度化」 全体として鉄鋼・化学などの「重厚長大」型から、自動車・機械・電機・情報・通信などにシフト。
役員企業には、今後の成長が見込まれる企業もふくまれており、これへの税財政・教育などにおける支援の必要が強調されている。
「3・正規従業員の大規模削減と非正規・不安定雇用への置き換え」 9倍以上に巨大化した役員企業が、同じ時期に正規雇用を1/3まで減らしている。
あわせて、正規雇用の賃下げ、違法なサービス残業の拡大、海外の低賃金労働の活用などをすすめており、これが巨大化の重要な要因となっている。
労働法制の「改革」もまた、財界の要請によって行われてきた。
「4・売上高に占める輸出・海外売上高の比率」 役員企業の1社平均輸出・海外売上高は70年から06年に17.5倍、売上高にしめる輸出・海外売上高比率も18.7%から39.4%に上昇。
この傾向は会長・副会長企業だけだと、さらに上昇し、売上高にしめる輸出・海外売上高比率は50%前後に達する。
日本の全輸出に対する上位10社の比率も、80年の27.9%から05年の33.7%へと上昇。
さらに、輸出・売上先はアメリカから東アジアに大きくシフトしており、これが日米貿易摩擦が激化しないことの要因の1つとなっている。
最近のニュースとして、小沢辞任と財界の役割について途中まで。
小沢氏は、民主党の政権担当能力に対する社会的評価の低さを「大連立」をすすめるひとつの理由にあげたが、その「低さ」の根拠には、おそらく日本経団連による評価が小さくない地位をしめてふくまれている。
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