「主婦とは何か」を歴史的に考えてみる。
①主婦の誕生。長い人間社会の歴史の中で、老若男女を問わず誰もが生きるために働いてきた。「女は昔から家にいた」はウソである。
資本主義による生産の集中が「家」から仕事を次第に奪い、その結果、私的空間としての「家庭」が生まれる。そして、裕福な「家庭」の中に専ら家事の指揮(召使を使って)を行う「主婦」が生まれてくる。いわゆる19世紀型の主婦であり、日本では明治初期にこれが誕生する。
②主婦の大衆化。ヨーロッパでは戦間期に、日本では戦後の高度成長期に「主婦」は一部の富裕家庭から一般家庭へ広がる。日本の場合には、家に妻をおくことのできる一定の男性賃金、農村から都市への人口移動と女性の就職、職場における女性への若年定年の強制、主婦への憧れの意識形成が、それぞれ条件となる。
③主婦の役割の終了へ。戦後のヨーロッパやアメリカでは、専業主婦比率の長期低下が顕著となる。アメリカでは高い主婦比率のあとに「得たいの知れない不安」(Bフリーダン)が生まれ、60年代には急速な比率低下が進む。直接のきっかけはウーマンリブ。
対照的に日本の比率は75年をピークとし、その後もほとんど低下しない。そこには、はたらきたい女性の希望にもかかわらず、長時間労働が短縮しない、ヨーロッパ社会との深刻な相違がある。
「男性長時間労働の維持+メンテナンス係としての女性」すなわち「世界にもまれな劣悪な労働条件+女性を企業社会から排除する格別の力」という財界による労働者家庭管理が意図されている。
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