前半2時間は、「本」づくりの相談とする。
そのあとは、2本のビデオを見る。
1つ目は「KBSスペシャル・2007現地ルポ・市場が北朝鮮を変える」。韓国国営放送のドキュメンタリー番組である。以下はその内容を要約したメモ。全体として、北朝鮮の市場経済化の急速さに驚かされる。
・幼稚園の運動会、家族そろって、子どもの成長記録をDVDに残すのがはやっている。
・大学生の誕生パーティ、壁には金親子の肖像、これもCDにして配る。
・1家に1台以上の自転車の普及。
・中国との国境、鴨緑江をはさむ地域でのインタビュー、米は少ないがトウモロコシがあるので食事には困らない、改善された。
・06年韓国の食糧支援も打ち切り、国際社会でも孤立、しかし、生活意欲が高まった、配給がなくなり自立が求められたから。
・以前は市場で商売ができなかった、いまはできる、「中国のような発展した国」では教師は給料も高いが、北朝鮮では「職業的革命家」と呼ばれ安い、子どもを大学にいかせたい。
・中国国境を守る北朝鮮軍人、川でからだを洗う軍人、牛がノンビリと、10年前には人が草を食べたここで、かつては生産のすべてを国家に捧げた、個人耕作地が出来ている、農業への国家支援、韓国からの肥料。
・98年以後貿易が活発になっている、「経済制裁」でも実質の減少はなかった、外部からの供給拡大と内部の発展が市場を創り出している、市場で場所代を収めるなどの慣習も定着してきている、住民も市場経済を学んでいく(同一商品同一価格)、闇市場でなく公開市場、あいさつが「元気だったか」から「何の商売をしている」に、売るものがない農村では薪を商品に、何をやっても国家からもらう給料よりはいい。
・長距離移動で商売をする人がふえバスの乗客がひどく増えた、汽車はより多くの商品が運べるので乗車競争が激しい、移動の制限ができなくなり、卸売の拠点もできた、個人住宅もつくられ売買されている。
・貧富の格差がひろがっている、以前は党幹部かどうかだったが、今は相伴がうまくいくかどうか、お金持ちは大きな家ももっている、国営の企業で働いているのは商売ができない人、鉱山労働者は転職の自由がない、農民も転職しづらい。
・医師も国から与えられた薬を売買している、医師はほとんど女性、医師は階級によって給料が決まっている、それがいまはもらえない、軍人も商売している、民家から盗んだものを売ることもある、国から与えられる物資を指揮官は部下に渡さない、家族に渡したいから。
・06年4月ミサイル発車直後、川で泳ぐ人、魚をとる人、バーベキューも、市場がもたらした恩恵、ハラを好かした軍人が寝ている、金首席の悪口をいう、兵士のハラを空かせておいてと、カメラを手にしている人も、金が最高の価値となった、金を収めれば愛国者となる、金もちが愛国者と認められる。
・北朝鮮での成功は以前は国家に忠誠を誓い奉仕すること、今は直接金を儲けること。
・北朝鮮の市場経済化にもっとも大きな影響を与えたのは78年以降の中国、一時は関係が冷却化した、84年に金正日が中国を訪問してその活気に驚いた、内部改革を開始する、企業ごとの独立採算制、外資導入など、中国を真似た、89年天安門事件、北朝鮮は社会主義の崩壊と考え市場排除の閉鎖経済へと逆もどり、92年経済特区が儲けられ日本企業を導入しようとする、金丸・田辺が北朝鮮訪問、田中均が02年日朝首脳会談の立役者、北朝鮮も安定を欲している、しかし核問題で暗礁に、さらに災害が、国際的な孤立が大量の死者を生み出した、住民は職場を放棄し山や野に入り市場におちついた。
・98年から商売を開始した人が多い、95年には商売は的だと考えられていたが、02年には公認された、法の中に市場が位置づけられた、生活手段の私有が拡大した、経済的利益を中心に動く意識が拡大した、市場が制度を追い越した。
・食堂は国家機関名義となるので国家と裏取り引きをして私有にする、96年からは国際商品展覧会も、06年にはカードが誕生、外国文化が大量流入、住民が勲章とメダルを売り渡す、党への忠誠心も薄れている、これを監視する部隊も生まれているが焼け石に水、市場経済が中流層を生んだ、彼らは配給経済への復帰を望んでいない。
・夏の平壌では学校別に波のあるプールを活用する、教育ではコンピュータと外国語(英語・中国語など)の熱が高い、釣り、犬の散歩、もはや市場廃止は無理。
・統制力の喪失を懸念しながら、政府はゆっくりと市場化をすすめている、流入商品はまだほとんどが中国製、工業団地の形成を韓国が支援している、市場を全土に広げるにはまだ資金が不足している、「苦難の行軍」以後の10年で大きな変化、平等が実現できないために共産主義という言葉が教科書から消えてきている、ただし社会主義に。
もう1つのビデオは「NHKスペシャル・激流中国・密着共産党地方幹部」。急成長し変化する中国社会を統治することの大変さを、地方幹部の日々をつうじて浮き彫りにするもの。
・ある農村に2万の企業、共産党地方幹部には市場推進が求められている、他方、国有企業は倒産・失業・貧困、貧富の差。
・激流は矛盾の流れ、一党支配のもとにある共産党が直面する課題を見る。
・5年に1度の党大会、2007年第17回大会、人口の6%(700万人)が共産党員、中国南部からはじまった改革開放、広東省のある鎮、行政職のトップの上に共産党幹部(書記)がいる、社会保障整備にも力、病院建設、CTスキャンも、小学校に大学院レベルの数学を学ぶ教室も、幼稚園から高校まで全員義務教育に、農民の99%は農業をやめて商売を、大金持ちも、農民が地主に、アダム・スミスの国富論を読みながら、計画経済でも市場経済でもどちらでもいい、最低限のコストで富を築く方法が第一。
・フランス企業の進出、土地買収に協力してほしいと共産党に、政府・農民・企業に利益があがることの見通しを示せと、5月近くマカオでの2000人の労働者デモ(労働条件、幹部の汚職)、経済発展の影に生まれる矛盾を解決せねば、16万人の出稼ぎ労働者は全人口の半分(ショウランチン)、出稼ぎ労働者の宿舎を初めて訪ねる、6人部屋、最終のバスが7時、ただちに9時半に改善させる、学校建設(出稼ぎ労働者の子どもを入れるために)を急がせる、不満の芽を事前に摘み取りたい。
・遼寧省、撫順市、70年代までは計画経済の花形地域、いまは取り残されている、90年代に国営企業の倒産が相次ぐ、5.8万人がレイオフ、共産党幹部の主な仕事はその対応、倒産企業(土地)を民間企業に売却させる、8つをすでに売却、あと5つの再建が課題、国営企業がコストが高い、政府は東北振興策を打ち出す、書記には元国有企業の社長として経営を建て直した実績、投資をよびこむノルマを分担していく。
・ファスナー中国メーカーの進出計画、老朽化した社宅の再開発(7万世帯の立ち退き計画)、移転先集合住宅建設、移転は住民にも金銭負担があり貧困家庭は抵抗、生活保護者も多い。
・第17大会で党幹部の汚職・腐敗を厳しく批判、幹部に向けた腐敗防止教育ビデオ、06年処分党員9.7万人。
・中央の黒字抑制のために輸出にかかる税が引き上げられた、ショウランチン党には外資がつめかける、書記ハイテクでなくてもハイテク製品として扱い税率を下げる、撤退を匂わせるアメリカの大手工具メーカーを訪問、市の党幹部を訪ね輸出税にかかわる輸出品の分類方法の変更を求める、「上に政策あれば下に対策あり」。
・8月ファスナーメーカー社長に会いに、土産に鹿の剥製をもって、土地使用権が高すぎる、しかも投資に失敗しても20年間転売ができない、2時間の交渉は平行線から白紙に
・80世帯以上が社宅からの移転を拒否、ソン書記が中心となった募金会、貧困世帯に配るため、党員350人あまりが285万円、9月一杯で立ち退きを完了させた、中央からの政策実現を迫られる地方の現場。
・ショウランチン、川の汚染(悪臭)、60億円かけて汚水処理施設の建設開始、環境対策は中央の最重要方針でもある、農村は豊かさを手にいれたが求められる役割はどんどん増える。
・とどまることのない市場経済化の波、それによって生じたひずみと向き合うかつてない役割が地方幹部に。
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