映像「インドの衝撃・第1回・わきあがる頭脳パワー」を見て、いくつかコメントを付けていく。
①頭脳立国路線の「成功」には、教育政策の他に一定の社会的条件の重なりが必要だった。91年の政策転換までは高い成長があったわけではない。自由化路線への転換に「IT革命」が重なったことが、頭脳立国路線が活きる重要な条件となっている。
②頭脳立国路線が求める「成功」は、現状では、教育競争を勝ち抜いた少数個人の豊かさを通じ、それを社会全体の豊かさに広げていこうとするものになっている。その少数個人が少なからず起業をめざすなかで、社会の豊かさを大きく左右するのは最終的には労使の力関係となっていく。
③外資を含めた企業の力の活用は当然だが、赤字が大きいインドの国家財政を念頭するなら、社会保障をつうじた国民生活の下支えにはいまだ距離があり、なおのこと労働法制の整備が重要となる。それが「中産階級」の経済的力量を左右し、生産と消費のバランスをうまくとることにもつながっていく。
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