ガイダンスを行う予定だった前回授業が休講だったので、それをあわせて語っていく。
この授業では、仕事(労働・就職)とは何かを軸に、現代の日本経済の仕組みに話しを進めていく。
①社会全体の仕事については、社会に必要なものをつくり(生産)、必要な場所に移動させる(流通)活動が土台。サービス・文化・教育などは、これがあって始めて存立可能な仕事。
②仕事をしている人(労働力人口)は、現代日本では人口のおよそ半分(2005年で6772万人、正確には完全失業者を含む)。他は、子ども・老人・専業主婦など。
③労働力人口のちょうど80%が、雇われてはたらく人。自営業者・家族従業者などがあり、雇う側の人はこれより少ない。
④現代社会では、雇われる人が雇う人に、はたらくエネルギー(労働力)の処分権を時間決めで売っている。その「代償」が給与(賃金)。
⑤消費者が安くて良いものを求めるように、雇う人は安くて良い労働力を雇われる人に求める。「労働市場」での実際の給与の決定は、両者の力関係が左右する。
⑥雇われる人(労働者)と雇う人(使用者)の関係を「労使関係」というが、そこには、1)力をあわせて経済活動を行う協調の面と、2)経済活動の成果を分けるにあたっての対立の面がある。
⑦人件費節約は、使用者側が推進したい2)の主な内容。99年の労働者派遣法「改正」をきっかけとした非正規雇用者の急増は、こうした衝動にもとづくもの。
⑧10月5日には「若者の貧困と『使い捨て』をゆるさない」ことをスローガンに、東京で4600人の集会が行われた。低賃金と雇用不安により若者(2人に1人が非正規)の尊厳を破壊するこの雇用形態は社会の一大問題。「ワーキングプア」の拡大とその言葉の「流行」もそこから。
⑨この授業では、労使関係の実際を軸に、日本経済の仕組みに目を及ぼしていく。
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