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第3節「景気が良くなっても暮らしが良くならない、なぜ?」では、企業利益伸びても、賃金が上昇しないという関係が、90年代後半にどのようにつくられたかを明らかにする。
1つは、97~98年の景気の落ち込みがきわめて大きく、それの取り戻しが求められたこと。しかし、より大きな問題は、賃金よりも、株主への配当、役員の賞与、内部留保の蓄積が重視されるようになったこと。
そうした経営思想の変化の背後には、①資本(証券)市場改革による企業買収の容易化とこれを避けるための株価引き上げの必要、②賃金引き下げを可能とする労働法制の改悪があった。
第4節「大企業はわが世の春を謳歌しているが」では、企業利益の伸びの内実が問われる。
01年から06年にかけて企業利益はほぼ倍増する。しかし、売り上げの伸びは17%。つまり人件費を中心とするコスト削減による利益の拡大が内実をなす。
企業全体の中で、中小企業については、05年をピークにすでに利益の後退が生じており、労働者・中小企業に対する大企業の一人勝ち状態が明らかに。
第5節「サブプライム問題の発生、そして景気は」では、サブプライム問題の日本経済への影響が論じられる。
ローン債権の証券化という手法が、アメリカの住宅バブル崩壊の影響を世界に広げた。日本では、①これを保有した金融機関の損失、②円キャリートレードが減少したことで、円高・ドル安が生ずる、③アメリカに連動して株価が下落するなどの影響が出る。
一層の景気後退を防ぐには、内部留保の還元が大切。
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