テキスト『中国は民主主義に向かう』の書評(「朝日新聞」5月24日・天児彗氏)を配布、コメント。
天安門事件では、言論による批判に政府は武力をもって応じたわけだが、20年後の今日、現政権内部に当時の政治指導者はおらず、事件に対する評価も大きく転換している。
テキスト59~85ページを読んでいく。人民に奉仕する政府の必要、革命党から執政党への党のモデルチェンジの議論には、やはりスターリン・毛沢東流の「階級闘争激化論」への批判が根底にあると思われる。
名指しの批判はないが、激化する階級闘争を闘うことを主な課題とするのでなく、主権在民の精神のもとに、新しい社会秩序の建設を推進することが党の主な課題と強調される。
政策決定の科学化・民主化の名のもとに、無原則なプラグマティズムへの批判も行われている。
さらに、調和社会の形成はそれ自体が「階級闘争激化論」への批判となるが、同時にそれは内陸部・農村部の貧困の克服に結びつくことで党内の地域エゴ・階層エゴとの闘いを求めるものでもあり、さらに市場経済が生み出す社会問題を正面から見つめることで、社会主義市場経済の運営のあり方にも問題提起をするものとなっている。
次回は、その市場経済の明と暗から。
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