ガイダンス的な内容とする。
世界の経済危機を背景にもつ、現代の日本経済を金融の角度から見ることにする。
金融は「資金の需要と供給の関係」などともいわれる。
資金の「供給」は、一方でモノをつくる企業に向けて行われる。多くの場合、貸し手が銀行で、借り手が企業。後に企業は利息をつけてこれを返済し、その差額を銀行がもうけることになる。
他方で、資金の「供給」は、直接にはモノづくりにかかわらない「金融経済」に向けても行われる。主に、投機に対する資金の提供。銀行自身が直接、投機に加わることも少なくない。
その結果、今日では、モノづくりの世界で流通する通貨より、投機目的に利用される通貨の方が、何倍も多くなっている。
こうした経済の仕組みの変化は、われわれの生活に決して無関係ではない。今日の世界の金融危機は、サブプライムローンという金融商品の価格崩落にはじまったが、それはアメリカ経済の消費力を急速に低下させ、モノづくりの世界に需要の不足(生産の過剰)を生み出した。
これによって、日本からアメリカへの商品輸出が減少し(その見通しが高まり)、それをきっかけに大量の「派遣切り」も行われた。それは日本国内の消費力を破壊する結果を生み、その後、日本政府が個人消費の激励に背を向けたため、状態は悪化の一途をたどっている。
これが今日の失業増、求人減、学生たちにとっては就職率の悪化を生み出している。
同じことを繰り返さないためには、「金融経済」のあり方にどういうルールを与えることが必要か。そこを世界各国の経済担当者たちが話し合っている。
テキストには『金融化の災い』を使用し、時々の話題についても解説をそえる授業とする。
受講希望者には、出席票を提出してもらう。
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