前回の簡単な復習からテキスト『大欧州の時代』に入る。
「はじめに」を読む。「大欧州」は04年の東西再統合以後を指すもので、「冷戦」集結以後を意味しもする。アメリカとEUとの資本主義の型の違い、東アジア共同体を展望するひとつの参考という問題意識が示される。
「奥付」「あとがき」を確認して内容へ。
第1章「ブリュッセルの素顔」。
直前にある地図を補足(テキストは06年刊)。
①EU加盟27ケ国 07年1月1日にブルガリアとルーマニアが加盟(テキストの地図に追加)
②共通通貨ユーロ使用16ケ国 07年1月1日スロベニア、08年1月1日キプロスとマルタ、09年1月1日スロバキアも
「1・欧州の首都」は、05年3月のブッシュによるブリュッセル訪問を題材に、EU「首脳」や「組織」の多様性を示すもの。
「2・『帝国』を拒否する街」は、それをブリュッセルという「首都づくり」の見地からとらえたもの。いずれにあっても、どこかに、あるいはだれかを権力の中枢とする発想はない。
いわばネットワークのサーバーとなり、統合はすすめるがそれぞれの独自性は消さないとする。
「3・巨大な通訳・翻訳者集団」は、加盟各国の公用語すべてをEUの公用語とする言語尊重主義を描く。
そこには、様々な他者を内外において尊重するとの思想がある。
「4・欧州人の人脈」は、この欧州統合の担い手をつくるための欧州大学院大学を紹介し、さらに04年に実施された加盟15ケ国のアイデンティティ意識を紹介する。
「自分は欧州人」4%、「まず欧州人で次に自国民」6%、「まず自国民で次に欧州人」46%、計56%となり、若い世代ほど「欧州人」意識は強い。
「まず日本人で次にアジア人」と自信をもって語れる人間がどれほどいるか。そこには「アジア人」として互いに連帯しようとする自覚の濃淡があらわれる。
他方で、イギリスは「自分は英国人」が62%、もっとも欧州人意識が低くなっている。
最後に最近の新聞記事から「EU大統領、欧州版IMFに前向き ユーロ信認維持に自信(2010/4/24付、日本経済新聞夕刊)を紹介。
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