前回の復習から、資本主義の発展と人口動態との関係、科学・技術とその利益第一主義的活用の区別について。
現在の選挙での各党マニュフェストの経済政策を念頭して、特に税制改革問題を。
・マスコミの選挙批評から
「週刊ポスト」(6月28日発売)、特集「菅直人総理。嘘をつくな! 『消費税10%』で日本は崩壊する」、民主党が参院選後の消費税増税のスケジュールを固めていること、消費税の増税が財政再建につながらないことを解説
「国民から搾り取っておいて『法人税』減税ってどういうことだ!」、消費税増税と法人税減税が財界からの要求でセット出されていることを批判
『日経ヴェリタス』(6月27日付)、「法人税減税は究極のバラマキ」という論文、「国際競争力強化のため に法人税減税すべきという議論がある。しかし・・・効果が極めて乏しく、むしろ有害ですらある」・経団連経済基基盤本部長・阿部泰久氏の発言
『国際税制研究』2007年№18-「日本は40%台に下げたと言いながら、その間、他の国がもっと税率を下げてしまったので、調整が必要だというのは建前的な発言」「日本で本当に国際的に活躍している大企業の実際の税負担率は、実効税率=表面税率ほど高くありません」
研究開発減税など政策減税があって、実効税率は40%でも、「製造業の場合、実際の税負担率はおそらく30%台前半」。もう一つ、税金の低い国で事業活動していて、そのメリットも受けている、「ただちに法人実効税率を下げなければならないという理屈はあまりない」(「抜本的税制改革の諸課題」22ページ)
『税務弘報』2010年1月号-「断言できますが、特に製造業であれば欧米並」「アジア諸国よりはずっと高いですが。欧米の普通の国に比べて高いという実証データはありません」(「特別鼎談 あるべき税制論議とは?」23ページ)
・各党のマニュフェスト(詳細略)
自民・民主・公明等は、以下の経団連の要望を事実上丸呑み
・日本経団連が要望していること
民間活力で経済を再生し世界に貢献する(総会決議)2010年5月27日
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/047.html
1.デフレ克服、自律的な景気回復および新たな成長に向けた挑戦-(2) 経済のグローバル化の実態を踏まえた法人実効税率の引き下げと競争政策の見直しによる競争力強化、海外からの投資誘致
2.豊かな国民生活の実現に向けた基盤強化-(1) 税制抜本改革と社会保障の安定財源確保、社会保障・税共通の番号制度の導入、財政健全化目標の設定などによる歳出入一体改革と行政改革の徹底
3.世界との連携強化と国際貢献-(2) 経済連携協定の面的・質的拡充と地域経済統合の拡大-(7) 官民連携による海外インフラ整備の推進
日本経団連総会における米倉新会長就任挨拶
「経団連が取り組むべき課題」「第1は、企業活力による成長の実現」「私は、企業が元気を出し、経済が成長して初めて、国民生活の向上、雇用創出、持続可能な社会保障制度の確立、財政の健全化といった諸課題への対応が可能になるものと考えております」-「構造改革」サプライサイドの経済学そのまま
・消費税増税をEUの福祉充実とつなげる財界
日本経団連「豊かで活力ある国民生活をめざして」(4月13日)-「消費税率を一刻も早く引上げ」「法人税への過度な依存を改め」 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/028/index.html
「セーフティネットの整備が進んでいる欧州諸国(の)・・税率は、15~25%の水準が標準・・・わが国(で)5%・・・は極めて特異」「2011年度から速やかかつ段階的に(たとえば、毎年2%ずつ引き上げ)、消費税率を少なくとも10%まで引き上げていくべき」 「2020年代半ばまでに消費税率を欧州諸国なみの10%台後半ないしはそれ以上へ」
・生活必需品に消費税をかけないEU
イギリスの例(標準税率17.5%)・EUの福祉財源は事業主保険料と「その他の税」で
・EUなみの消費税と福祉をいうならば
第一に生活必需品にかけるのをやめ
第二に財界自身が保険料と法人税をしっかりしはらうべき
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