最近の新聞記事からは「ご当地仕様 韓国家電好調」(瀬古さん)、「出稼ぎ農民『格差是正を』」(篠崎さん)、「太陽光発電を追う 太陽熱」(那波さん)。
テキストは第4章(篠崎さん・福田さん)、第5章(青木さん・藤原さん)。
最後は映像「NHKスペシャル ワーキングプアⅢ 解決への道」を見る。
〔以下、内容についてのメモ〕
どうすればワーキングプア問題を解決できるか、同じ問題に直面する国々に取材を、韓国(勤労貧困層)、アメリカ(最先端のIT技術者まで)、イギリス(若者に声をかける国の支援員、国家の責任で若者の未来を守ろうと)、日本(対策が遅れている))
韓国、ワーキングプアの急増、市場競争を重視する国々、貧困率・アメリカ・日本・韓国、考試院(畳2畳の小さな部屋、もともとは受験生の勉強部屋、ワーキングプアが生活している)、31才地方から出てきた、名門大学の工学部を出て、月11万円のバイト暮らし、「こんな生活になるとは」、97年の金融危機以後非正規増大、2人に1人、新たな法律・非正規保護法(2年以上はたらくと正社員化の義務など)、この法律が逆に首切りを促進、大手デパート、レジ業務をすべて外部委託に、イ・インスクさん(41才)、月10万円、2人の子どもは塾をやめさせた、夫は病気、国会議員に訴えるが、時給は最低賃金だったのに、国はあとは労使間の問題だと、法律だけで解決するには限界がある、労資の信頼関係が大切だと、10月49才男性の非正規労働者が焼身自殺、インスクさんの夫・ガンの転移拡大と、デモをつづけるか他の非正規職をさがすか
アメリカ、日本以上の問題が噴出、コンピューター技術者の解雇、インド・中国への仕事の移転、国内で倒産するか海外で成長するか、ダラス郊外のキャンプ場に次々人が住み着いている、ブライアン・ラフェリー氏46才・元プログラマー、いまは動かないキャンピングカーに住んでいる、かつては1000万円近い年収も、しかし仕事はインドに、いまは仲間のパソコンを無料でなおしている、いまはファストフードではたらいている、クルマ社会のアメリカでは通勤手段は自分で確保せねば、店では店長だが手取り15万円、部下はバイト1人だけ、1日10時間週末も休みなく、IT関係100社以上に応募したが、16才でバイトしたこの店(ケンタッキー)にまたもどってしまった、失業よりはましだが、不安は健康、高血圧の持病があり、かつては定期通院していた、必要な薬ももうない、いまの仕事には医療保険もない、いまはITをあきらめて保険のある仕事をもとめている、ダラスには保険のない人を安く見る病院があるが長蛇の列・10時間以上またないと、命まで自己責任、虫歯をなおしにメキシコへいくなど、力のないものは取り残されるそういう国なんだ、大学へいくための借金返済がいまものしかかっている、宝くじをあてるか裕福な家にうまれるしかない
韓国、アメリカには日本の将来を見せられている気がする
韓国労働研究院所長、イ・ビョンヒ氏、問題は市場原理主義、問題が下に転嫁される、リスクを社会全体で引き受けるのでなく、結局は「市場の失敗」、市場まかせでは解決できない
バーバラ・エーレンライク氏、アメリカ、『ニッケル・アンド・ダイムド』、グローバル競争の中での賃下げしかないというが経営陣は莫大な富、社員の待遇を向上させる姿勢がない、アメリカにはセーフティネットがない、失業すると医療保険もない、貯蓄もなくクッションがない、奈落の底に落ちるしかない
各国の対策から日本にとってのヒントを探る、アメリカ・ノースカロライナ、州政府による対策、かつて家具製造が盛ん、中国との価格競争に敗れて多くがワーキングプアに転落、バイオ関連の新しい企業が立つように、436社も、積極的な誘致策、州立短期大学でバイオ労働者を育成するプログラム(130億円)を、5000人が学ぶ、クリスティン・プルエットさん37才、母子家庭、めざすのは研究補助の職員、年間数百万の授業料が15万程度のみで、遺伝子組み換えの方法、どのような産業ならグローバル化の影響を受けずにおれるか(州政府の研究)、政府によるきびしい製品基準があるバイオならと、昼過ぎ授業が終わったあとはウエイトレス、月13万円、勉強をつづける間の生活費を、夜10時、両親の家に、2人の息子を引き取りに、6才と4才、もっとゆっくり子どもとすごしたい、企業が求める人材を確実に求める、企業もプログラム卒業生を積極的に採用、3年で雇用拡大で政府は税収も増加、クリスティンさん就職、最初は270万円
イギリス、リバプール、貧困が再生産されないよう国をあげて若者支援、1/3が国の貧困ラインより低い生活水準、国・自治体から派遣される支援員、全国9000人、職業訓練から就職まで面倒をみる、若者を社会につなげる、日本にない「社会的企業」の活用、国から補助金、これを訓練生の手当てなどにあてる、現在5万5000社、介護・清掃・リサイクルなどの諸企業、ポール・チャレナー17才、ワーキングプアの家庭、中卒で仕事につけず、いまはリサイクル企業で、電気関係の知識を学んでいる、以前は荒れていた、貧しさから将来に希望をもてず、政府は家庭まかせでは問題は解決しないと、低所得者用の公営アパートに両親、兄弟と6人で、父親は最近仕事がなくなった、子どもたちに直接手を差し伸べなければ貧困からは抜け出せない、弟のショーン12才、中学生になったが家では勉強できない、指導員が学校で簡単な読み書きから教える、進学・就職の機会を失わせない、5才の妹にも国からの支援、02年以降にうまれたこども6~12万円が振り込まれた口座がもらえる、18才まで降ろすことはできないが高利で100万円程度になる、年15兆円を政府は集中的につぎこんでいる、政府は早いうちに手を売った方が社会のリスクが小さいと、ポール電気工事の安全管理に関する試験に合格、みんなのおかげで自信がもてる、ワーキングプアを未然に防ぐ取り組み、これからを担う世代を国家の責任で支えようと、子どもたちへの貧困の連鎖を、機会を誰にも保障しようとする社会の理念
日本、国の対策ははるかに遅れている、いまある制度でなんとかしようとする試みがはじまっている、釧路市の佐藤さん27才、母子家庭、4才の息子、釧路市の支援で障害者施設でパート勤務、月12万円、生活保護3万円、かつては過労と孤独で家に親子で引きこもり、市の自立支援プログラム、自立までのステップを、①ボランティア、②パートなど、③安定した仕事で自立、生活保護支給も段階的に減らしていく、自立支援員・新田さん、100人近い人の自立を支える、新田さんも母子家庭の母、3人の子どもを育てた、佐藤さん、最初は子育て支援施設でボランティア、すぐにはパートにもつけず、新田さんが激励、自立支援プログラム費用900万円は国からの補助金、仕事づくりは地域のNPOに頼っている、企業の雇用情勢は厳しく、最終的に自立できた人はまだ1割、新田さん夜は学習塾の先生、自立支援員では月10万円あまり、今年5000円カット、日本の自立支援の実態、佐藤さんいまの職場で正規職員になることをめざしている、自分は社会の邪魔者じゃない生きていていいんだと思えるようになった、応援してもらったことで
内橋克人氏、①日本にも「社会的企業」を育てるべき、社会的有用労働・介護・医療では人出が足りない、その仕事を食える仕事にする必要がある、それを社会が用意しなければ、人の犠牲・善意だけでは解決できない、②地域と民間企業の連携による人材と産業の育成が必要、国の改革への姿勢が必要
ワーキングプアは生きる誇りを奪われてしまう、東京・池袋、雑誌をひろって生きていた若者、家族とも縁を切って、こういう人がたくさんうまれる社会でいいのか、岩井さん35才、バイトを点々、30才をすぎて仕事がなくなりホームレスに、両親離婚で家族がバラバラ、誰も信じられなくなった、社会で生きるためには人に認められなければ、それより1人で生きていこうと、他人を信用しなくなった、1年半後、三鷹市で月7万円の路上清掃の仕事に、ホームレス仲間にさそわれて市の仕事を請け負い、日当1万円月7日間、やりがいがある、餃子定食の大盛り、2日に1度銭湯に、少しずつ社会とのつながりを取り戻そうと、コインランドリーで洗濯、1度ホームレス支援施設に入って就職をめざしたが身元保証の家族がおらず面接を断られた(東京都)、いまも帰るところは高速道路のガード下、新宿の炊き出しの手伝いに(仕事がない日)、自分の弁当を仲間に渡す、三鷹市との契約は上半期で80日と決まっている、グループのリーダーと市役所に、下半期の仕事をお願いしに、いまもうまれてこなければよかったという気持ちはある、ちゃんと社会復帰してから生きててよかったってなるんじゃないか、涙、普通の人間としての感情がもどったんじゃないかな、人を信じれるような、自分みたいな人間を一人でも多く手助けしていきたい
はたらくとは収入だけでなく、社会とつながり人間としての尊厳を取り戻すということ、こういう人たちをそのまま放置する社会でいいのか、海外の取材をつづけるうちに日本の深刻さが浮き彫りに、イギリスやアメリカでさえ様々な対策が、日本では国・社会全体の取り組みは決定的に遅れている、何をすべきかの道筋はすでに見えているのは、国と社会が意志と覚悟をもって取り組まねば
最近のコメント