第1回の授業なのでガイダンスとする。
「経済学」は、3つの経済学関係科目の中の中級編。
今期の問題意識は「資本主義は個々の資本による利益追求を原動力とすることによる利点と欠陥がある、欠陥は貧困・環境破壊などを生む「もうけの暴走」、それを「適切なもうけ」に制御することが必要では」というもの。
下に、関連して最近の「原発災害」を事例にあげる。
使用するテキストは、『ルールある経済って、なに?』。
受講者制限(70人)のために出席票を出してもらう。
以下は、「原発災害」の解説に使用したパワーポイントの内容。
〔想定外の巨大地震〕
マグニチュード9.0(過去100年の世界で4回目、過去2000年の日本で3回目)、3つの地震の連動で巨大化、3月11日「直江津」足止め、12日長野県北部地震、17日まで連絡がつかなかった卒業生(防衛省に電話)
10m以上の津波(大洪水)、岩手県宮古市では水が38mの高さまで(過去最高級、1896年明治三陸地震に匹敵)、死者・行方不明者約2万8000人
緊急の救援と生活再建・復興のための長期にわたる大型の対策が必要
〔想定内の原発災害〕
福島原発は即時運転停止、核燃料を冷却せねば溶ける(炉心溶融、86年チェルノブイリも79年スリーマイル島事故も)、発電・送電不能のため冷却できず、熱の上昇による水素の発生、酸素と結合しての水素爆発、燃料棒が水から露出、放射性物質が放出
3号機は10年9月からMOX燃料(ウランとプルトニウムの混合酸化物)を利用(プルサーマル運転)、最悪の毒物プルトニウム放出の可能性も
「外部電源と内部電源のトラブルが同時に発生した場合にどういう事態が起こると考えているか」(吉井英勝議員、国会経済産業委員会、10年5月26日)、「論理的には炉心溶融事故は起こりうる」(寺坂信昭原子力安全・保安院長)、エネルギー政策の根本的な転換が必要
〔政府の方針の土台となった財界の原発政策〕
2010年6月政府の「エネルギー基本計画」、2030年までに原発14基以上増設
「エネルギー基本計画の見直しについての意見」(2010年4月7日)http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/059.html
「3・エネルギー供給構造のあり方」-(1)「わが国のエネルギー安全保障を確立していくためには、原子力、石油、天然ガ ス、石炭等のそれぞれの特性を踏まえたエネルギー源の多様化と供給源の多角化」
(2)「とりわけ原子力はわが国のエネルギー戦略上、基幹となるエネルギー源。安全性の確保を大前提として、着実な推進を図る」
「4・エネルギー産業の国際展開」
「(1)わが国の優れた環境・エネルギー技術を活かし、経済成長と国際貢献を同時に達成するため、高成長を続けるアジアをはじめ海外市場を開拓していくことが重要である」
「(2)そのため、(1)海外市場の開拓への官民の一体化・連携した戦略的取組みの推進(EPA・FTAやODA・OOFなどの仕組みの活用、政府首脳級によるトップセールスも含めた総合的な民間ビジネスの後押し)」
〔原発建設・販売をめぐる利益共同体〕
原発建設をめぐる利益団体、①電力会社(9電力)、②原発メーカー(西日本は三菱重工業、東日本は東芝、日立、3社で独占的に受注)、③ゼネコン(大成、鹿島、大林、清水、五洋、前田、熊谷、竹中、飛鳥、間、奥村・・・)、④資材メーカー(鉄鋼、セメント)、⑤銀行、⑥この他に「公共事業」利権がからむ
日本の軽水炉は、もともとアメリカの原子力潜水艦の動力用に開発されたもの、安全性を重視してつくられたものではない
〔経団連中枢の1/4〕
日本経団連会長・副会長企業
会長・米倉弘昌(住友化学会長)、副会長・佐々木幹夫(三菱商事取締役・相談役)、中村邦夫(パナソニック会長)、森田富治郎(第一生命保険会長)、槍田松瑩(三井物産会長)、榊原定征(東レ会長)、前田晃伸(みずほフィナンシャルグループ特別顧問)、佃和夫(三菱重工業会長)、氏家純一(野村ホールディングス会長)、大橋洋治(全日本空輸会長)、岩沙弘道(三井不動産社長)、清水正孝(東京電力社長)、渡辺 捷昭(トヨタ自動車副会長)、西田厚聰(東芝会長)、宗岡正二(新日本製鐵社長)、川村隆(日立製作所会長)、坂根正弘(小松製作所会長)、三浦惺(日本電信電話社長)、中村芳夫(日本経済団体連合会事務総長)
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