〔貧困をなくそうとしない日本〕
資本主義による貧富の格差、調整しようとする所得の再分配(税と社会保障)、80年代からの新自由主義による希薄化
所得再分配効果が低い日本、図14~16
〔名ばかり店長裁判結果〕
名ばかり管理職 権限もないのに肩書だけ管理職とされ、ただ働き残業や長時間労働を強いられること。管理監督者であるかどうかの基準は▽経営者と一体的な立場▽勤務時間の自由裁量▽職務に見合う待遇―など
安売りコンビニエンスストア「SHOP99」元店長の清水文美(ふみよし)さん(31)=首都圏青年ユニオン組合員=が、権限のない「名ばかり管 理職」で残業代なしの過酷な長時間労働で健康を壊したとして、未払い残業代と慰謝料の支払いを求めた訴訟の判決が5月31日、東京地裁立川支部で
判決は、清水さんが「名ばかり管理職」だったと認め、会社側に対し、残業代44万8376円と付加金20万円、慰謝料100万円の計164万8376円を支払うよう命じた
SHOP99を運営するのは、コンビニ大手ローソンの完全子会社、九九プラス(本社・東京都新宿区)
清水さんは2006年入社後、わずか9カ月で店長に。「管理監督者」扱いで残業代は払われず、店員時代より賃金は8万円も下がった。37日連続勤務など過酷な労働が原因で、うつ状態と診断、入社から1年2カ月で休職に
判決は、清水さんの職務内容、責任、権限、賃金からみて「管理監督者に当たるとは認められない」と指摘。「時間外労働や休日労働に対する割増賃金が支払われるべき」と
うつ状態についても、「業務と本件発症との間には相当因果関係が認められる」として、会社が安全配慮義務に違反したと判断
清水さんは、「判決は、自分の思いに後悔のない中身になっている。健康を取り戻せず、苦しかった。やっぱり働きたい。会社は人を人として扱ってほしい」と強調
清水さんは復職を希望しており、健康の回復をみて、組合などで会社と話し合うとしています
第2章「社会的公正をめざして」
SOCIAL JUSTISCE(社会的公正)、人間の権利を守り不平等をなくす、現代ヨーロッパでの社会・経済づくりの重要理念
(1)ヨーロッパと社会的公正
〔蜂の寓話〕
バーナード・マンデヴィル、1714年『蜂の寓話』、副題「個人の悪徳(欲望)は公共の利益」、アダム・スミス、1776年『国富論』「私益は公共の利益」、フリードリヒ・ハイエク「自生的秩序」論・市場での各人の自由が、いずれも野放しの資本主義をそのまま肯定
〔資本主義とルール〕
マルクス『資本論』、資本は「自己増殖」を目的に長時間・過密労働を
労働者を守るルールが必要に、労使協定、法律、労働組合の力
〔キリスト教と社会的公正〕
「社会的公正」は産業革命初期の民衆のスローガン、19世紀半ばからの労働運動・社会主義運動の共通の目標に、たたかいの中から生まれたスローガン
1891年ローマ教皇・レオ13世「レールム・ノヴァールム」(新しい規範)という回勅(信徒への書簡)、ゆきすぎた搾取への警告
「憐れみ」でなく「社会的公正」の問題として、他方で社会主義運動への牽制も
これがヨーロッパにおけるキリスト教民主主義政党の思想的支柱に、「福祉国家」の力に
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