忘れてしまわないうちに,日米財界人会議関係の情報をまとめておく。
①日本経団連が日米EPAを提唱。アメリカ側も基本的に賛成。
②日本側は農業分野(関連政治家)の反対が強いのを認めたうえで,国益のために自由化を強行する考え。
③労働力流動化の一層の推進。
④法人税減税,100%出資グループ会社間の消費税率の見直し(減税)を要求。
⑤郵政民営化については新会社が民間のジャマにならないことを念押し。
⑥企業合併(アメリカ企業による買収)については,日本経団連から一定の注文がついているらしい。
いずれにせよ,全体として日米大企業による日米市場への相互参入と経済支配を一層すすめるもの。
労働者や国民の生活に対する配慮はどこにもない。
※日米財界人会議のそもそもについては,日米経済協議会に解説がある。
※同会議での御手洗日本経団連会長スピーチはこちら。
「三角合併で友好的M&A促進 日米財界人会議 13項目の共同声明 」(FujiSankei Business i. 11月14日)
「日米の経済人らが経済問題について意見交換する「第43回日米財界人会議」が12、13の両日、帝国ホテル(東京都千代田区)で開かれ、13日には「外国直接投資」や「日米経済連携協定(EPA)」など13項目について共同声明をまとめた。
外国直接投資では、日本で企業再編をしやすくする仕組みとして、来年5月に導入予定の三角合併について、「(日本経団連側が)いろいろと条件を付けているのは事実で、米国メンバーに理解してもらう」(米倉弘昌住友化学社長)ことに議論の重点が置かれた。
その結果、当事者間の友好的なM&A(企業の合併・買収)を実現するための手段として機能するよう提言した。具体的な技術論については今後検証していくとしている。
パネルディスカッションのテーマとなった日米EPAでは、日本経団連の御手洗冨士夫会長が「日本の対外関係の機軸は日米関係。両国関係が良好な時期に、経済連携を発展させる制度を考えるべきだ」と強調し、さらなる進展に期待が集まった。
今回は世界的な自由化推進に向けた「モデルケースに結びつけたい」(氏家純一日米経済協議会会長)という観点から議論され、「両国の民間セクターの協力を得て、日米EPAのアウトラインと対象範囲に関する公式な研究を開始するにふさわしいタイミング」と提言に盛り込んだ。
知的財産権に関しては「日米両国は国内外の知的財産権の強化を課題として認識し、国際社会でリーダーシップを発揮すべき」と指摘。労働市場の流動性については、紛争時の金銭解決制度の導入や、労働時間規制の適用除外に関する新ルールの創設などを提唱した。
◇
≪日米財界人会議共同声明の主な項目(要約)≫
【日米EPA】
・実現には民間セクターなどの強力な支援が不可欠。両国の経済協議会が実現に不可欠な分野、範囲特定の研究を行う
【日本の金融市場】
・法人税は国際標準に適合する水準まで低減することを要求。消費税率を見直す場合、グローバルスタンダードとの整合性を確保し、全額出資関係にあるグループ会社間取引関連の消費税取り扱いを再検討すべき
【外国直接投資】
・三角合併は手続きにおいて適切な株主保護と柔軟な課税繰り延べを容認するよう要望
【知的財産権】
・第3国による侵害に対しては当該政府が自主的な問題解決策を採用するよう両国の協力と官民一体による対応を促す 」。
「日米EPAの公式研究を 財界人会議が共同声明」(東京新聞,11月13日)
「日米の政治、経済問題を民間レベルで協議する日米財界人会議は13日、両国間の貿易、投資の自由化や規制緩和を包括的に進める日米経済連携協定(EPA)について「公式の研究を開始するのにふさわしいタイミングだ」として、両国政府に本格検討を促す共同声明を発表し、閉幕した。
声明は日米EPAが「両国経済に経済、貿易面で大きなメリットをもたらし、他の2国間、地域間協定のモデルを確立する」と、締結の意義を強調した。一方、特許など知的財産権保護では、中国などの第三国の権利侵害に対して、日米両国政府の協力を求めた。
日本の国内問題では、郵政民営化で発足する郵便貯金銀行、郵便保険会社に関し、ほかの民間企業と競争条件が対等にならない限り、新商品への参入を認めないよう日本政府に要請した。
外国企業による日本企業の合併・買収(M&A)が容易になる三角合併の来年5月の解禁については、敵対的M&Aを警戒し慎重姿勢が強い日本側と推進を求める米国側の双方に配慮、玉虫色の表現となった。
13日はエネルギー、環境問題、高齢化社会への対応などを話し合う分科会も開かれた」。(共同)
「日米間のEPA検討すべき時期 財界人会議で経団連会長」(北海道新聞,11月13日)
「日米の企業経営者らが経済問題で意見交換する日米財界人会議(日米経済協議会主催)が十二日、東京都内で始まり、日本経団連の御手洗冨士夫会長は「日米の経済連携協定(EPA)を真剣に検討すべき時期が来ている」と述べ、両国政府に検討の開始を促した。
御手洗会長は日米EPAについて「関税撤廃だけでなく、サービス貿易の自由化、投資規制の緩和、知的財産権分野での協力などを推進すべきだ」と提唱した。経団連が日米EPA締結を提唱するのは初めてで、近く具体的な提言をまとめる。
続くパネルディスカッションで在日米国商工会議所のチャールズ・レイク会頭も「両国間のビジネス上の環境整備は、世界貿易機関(WTO)の舞台よりEPAで行うべきだ」と支持。経済同友会の北城恪太郎代表幹事も「(市場開放には)農業の抵抗があるが、特定分野の障壁を乗り越え、域内の経済発展を考えることが責務」と述べた。
同会議は十三日、高齢化社会対応に関するシンポジウムを開き、共同声明を採択して閉幕する」。
「12日、日米の経済問題を民間の代表たちが話し合う第43回日米財界人会議が都内で開幕した。
同会議には、日本側の議長で日米経済協議会会長の氏家純一氏ら日米両国で約60人が出席し、両国の経済の緊密化を推進する経済連携協定(EPA)の締結に向けた課題や景気の現状、見通しなどをテーマに議論を繰り広げた。
会議に先立って日本経団連の御手洗冨士夫会長が講演し、日米EPAに関して「真剣に検討すべき時期に来ている。日本の対外関係の基軸は日米関係である」などと述べ、日米両政府に対し、EPAの早期締結交渉に入るよう促した。
また、米大手証券メリルリンチのリチャード・マッコーマック副会長は、米国の経済成長をリードして来た住宅市場の低迷を背景に2007年の米国経済成長率が2%まで下がる予測が出ていることを述べ、米国経済全体への悪影響に懸念を示した。
会議は13日まで開催され、麻生太郎外相らの講演や知的財産権保護、環境問題、高齢化社会への対応などを議題にした分科会が開かれる予定で、共同声明の採択後、閉幕する」。
「経済協定実現へ意見交換 日米財界人会議が開幕 」(東京新聞,11月12日)
「日米経済の主要課題を民間の立場から話し合う日米財界人会議が12日、東京都内で開幕し、両国経済の一層の緊密化を目指す日米経済連携協定(EPA)の締結に向けた課題や、日米の景気の現状と見通しなどについて意見交換した。
会議では、日本経団連の御手洗冨士夫会長らが講演。御手洗会長は、日米間の関税撤廃や投資規制の緩和、知的財産権制度の統一などを含む日米EPAについて「真剣に検討すべき時期に来ている。他国のEPAのモデルになる」と述べ、日米両政府に対し早期に締結交渉に入るよう要請する考えを表明した。
一方、米大手証券メリルリンチのリチャード・マッコーマック副会長は「2007年の米経済成長率は2%まで下がるという予測が出ている。(リード役を果たしてきた)住宅市場は弱含んでいる」と指摘し、米国経済全体への悪影響に懸念を示した。
この日は日米EPA実現に向けた制度問題についての討論会も行われた。
2日目の13日は、麻生太郎外相らの講演のほか、知的財産権保護やエネルギー、環境問題、高齢化社会への対応などを議題にした分科会もあり、共同声明を採択して閉幕する。(共同)」
「日米EPAの早期検討を・日米財界人会議が開幕」(日経新聞,11月12日)
「日米の経済人らが経済問題を話し合う日米財界人会議が12日、東京都内のホテルで開幕した。日本経団連の御手洗冨士夫会長は講演で「日米間で経済連携協定(EPA)を真剣に検討すべき時期に来ている」と述べ、日米両国政府に早期の検討開始を求める考えを示した。
日米EPAを議題とするパネル討論では、経済同友会の北城恪太郎代表幹事が「農業分野の市場開放は農家や政治家の反対が強いが、先進国である日本の責務であり国益にも合う」と指摘。在日米国商工会議所のチャールズ・レイク会頭も「日米間の協定締結は世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の前進にも拍車をかける」と前向きな考えを示した。
会議は13日夕、共同声明を採択して閉幕する」。
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