ALBA(ボリバル代替統合構想)の第5回首脳会議が、加盟4カ国とオブザーバー参加6ケ国で行われた。
ベネズエラは加盟各国とハイチに対する石油の安値供給など,国境を越えた連帯の具体化がはかられつつある。
さらに石油利益の一部をベネズエラはALBAの基金として利用し、さらにこの基金に中国からの援助が加わる見通しだという。
この地域と世界の変化は急速である。
中南米左派国に石油を安値供給へ…米国に対抗でベネズエラ(読売新聞,4月30日)
【ハバナ=中島慎一郎】ベネズエラの反米左翼指導者、チャベス大統領は4月29日、米国に対抗するための社会・経済協定「ボリバル代替統合構想(ALBA)」締結国のキューバ、ボリビア、ニカラグア3か国とハイチに対し、安値で安定的に石油を供給する方針を表明した。石油協力を軸に、中南米左派勢力の結束を固めたい考えだ。
チャベス大統領はベネズエラ北西部バルキシメトで4月28、29の両日開かれたALBA首脳会議でこの方針を表明。4か国への石油提供について、代金の5割をベネズエラが負担し、残りは返済期間25年、年2%の低利融資を行う考えを示した。
大統領はさらに、将来的にALBA締結国で共同運営する石油会社「ペトロALBA」を設立する可能性も示唆した。
ALBAは、米国主導の米州自由貿易圏(FTAA)に対抗して、独自の経済協力関係強化を目的に、チャベス大統領とカストロ国家評議会議長が2004年に創設。06年にボリビア、今年に入ってニカラグアが加盟した。
今回の首脳会議にはボリビアのモラレス大統領、キューバのラヘ国家評議会副議長、ニカラグアのオルテガ大統領らが出席、ハイチのプレバル大統領もオブザーバー参加した。
対等平等の統合推進へ/ベネズエラでALBA首脳会議/中南米(しんぶん赤旗、4月30日)
【メキシコ市=松島良尚】ベネズエラ西部のバルキシメトで二十八日、「米州ボリバル代替構想(ALBA)」の第五回首脳会議が始まりました。ALBAの到達を総括し、統合の強化をめざす中、長期的計画づくりが目的です。会議は二日間の予定です。
ALBAは、キューバとベネズエラが二〇〇四年に結んだ経済・社会協力協定です。米主導の米州自由貿易地域構想に対抗し、協力と連帯、補完にもとづく地域統合を掲げています。ボリビアとニカラグアも加盟しました。エネルギー資源や医療、教育分野などでの協力関係が強まっています。
ベネズエラのチャベス大統領は開会演説で、「ALBAは諸国民の熱情から生まれた」「ALBAではどの国も平等だ」と強調。「資本主義社会や貧困、支配から日ごと離れゆく異なる世界」をつくろうと呼びかけました。また、ALBA加盟国とハイチに、必要な石油量のすべてを半額で供給すると約束しました。
会議には、加盟四カ国の首脳(キューバはラヘ国家評議会副議長)のほか、オブザーバーとしてカリブ海地域からセントクリストファー・ネビス、セントビンセント・グレナディーン、ドミニカ、ハイチ、南米からエクアドル、ウルグアイの計六カ国の首相や政府代表が参加しています。
ベネズエラ外務省によると、今回の首脳会議に合わせて、中南米を中心とする国から百五十以上の社会団体の代表が到着しています。代表らは首脳らとの対話集会に参加する予定です。
ALBA首脳会議 閉会/国民奉仕の共同発展を/「宣言」採択 中南米の連帯確認(しんぶん赤旗、5月1日)
【メキシコ市=松島良尚】ベネズエラで開かれていた「米州ボリバル代替構想(ALBA)」第五回首脳会議は二十九日、ALBAの性格や目的、今後の事業などを明らかにした「共同宣言」を採択して閉会しました。会議には、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ、ボリビアの加盟四カ国と域内の六カ国がオブザーバー参加しました。
--------------------------------------------------------------------------------
「宣言」は、「ALBAのおもな原則は、利己的な民族主義抜きの諸国民間の広範な連帯にある」と確認。「根本目的は、政治と経済が国民に奉仕する共同発展を目標として、域内の変革を生み出すこと」としています。
「宣言」はまた、教育や医療、エネルギー、通信、輸送、住居、食料などの分野における協力事業やプログラムの推進を強調しています。
これらの財源にかかわって、ベネズエラのチャベス大統領は、同国が優遇条件で加盟国とハイチに供給する石油代金の一部をALBAの事業推進の基金に積み立てると提案しました。また、インフラ整備などのために中国に提案していた両国の「大戦略基金」(六十億ドル)の設立に中国が合意したことを明らかにし、同基金もALBAの事業に用いられる見通しだと述べました。
首脳会議は、ALBAを組織的に強化するために大統領常設協議会を設けてそのもとに事務局を置き、さらに閣僚、社会団体の各協議会もつくることを確認しました。
一方、首脳会議に合わせて米州各国から集結した百五十以上の社会団体代表らは「第一回社会運動集会」でALBAの原則を支持するとした最終文書を採択し、首脳らとの対話集会を開きました。これに先立ってチャベス大統領は、「国民不在のALBAなら、ALBAでなくなってしまう。諸国民を団結させるのは大統領ではなく、自覚にもとづく諸国民自身だ」と強調しました。
コメント