「中国・アフリカ協力フォーラム」で合意された、中国による「アフリカ発展基金」が創設されたという。
事態がアフリカの貧困克服にどのようにつながりうるのか、注視したいところである。
「ダルフール問題」に対する中国政府の姿勢については、以下の「産経」と国連事務総長とのあいだに、大きな相違があるようである。
中国、企業のアフリカ投資を支援 50億ドル基金創設(産経新聞、6月27日)
【北京=野口東秀】中国政府は26日、中国企業のアフリカ投資を支援する「中国アフリカ発展基金」を創設した。中国の政策銀行、国家開発銀行が当初10億ドルを出資し、最終的には総投資額は50億ドル(約6100億円)に達する見込みだ。中国はスーダンのダルフール紛争など人権問題を軽視していると非難されており、今回の基金もアフリカでの資源や市場確保を優先的に進めるものとして、批判を招く可能性が強い。
基金設立は国営新華社通信が伝えた。同基金は、胡錦濤国家主席が昨年11月の「中国・アフリカ協力フォーラム」首脳会合で発表した援助策のひとつで、アフリカでインフラや製造業などに携わる中国企業に財政支援するほか、プロジェクトに資金援助することが主要目的だ。
新華社電は「経済協力の重要な一歩」と伝え、国家開発銀行の高堅副総裁は投資対象として、インフラ整備や農業分野などを指摘している。
中国は経済力を背景にした対アフリカ接近を強めており、援助規模を2009年までに06年の2倍に増加させるほか、10年までに中国とアフリカ諸国との貿易額を1000億ドルに引き上げる方針を表明するなど、アフリカで中国の存在感を強くアピールしている。
国連総長、ダルフール問題で中国の建設的役割を称賛(北京週報、6月27日)
潘基文・国連事務総長はパリで25日、スーダン・ダルフール問題に関する閣僚級の国際会議に出席した。会議後の共同記者会見で潘事務総長は、外国人記者の質問に対し、ダルフール問題の解決に向けた中国側の努力に、国連事務総長として満足の意を表した。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
潘事務総長は「2月には胡錦涛国家主席がスーダンを訪問し、最近中国政府は、ダルフール問題特別代表も任命した。中国政府は一貫して、国連やアフリカ連合(AU)を始めとする国際社会との完全な協力に応じるよう、スーダン側の説得に努めている。中国政府はこの面でまさに『建設的役割』を発揮している」と述べた。
同会議では、ダルフールの政治プロセス、人道・安全状況、ダルフールの復興、ダルフール問題の地域への影響などが話し合われた。(「人民網日本語版」2007年6月26日)
ダルフール問題の解決には、三つの重点と三つの原則を重視すべき(北京週報、6月26日)
中国政府のダルフール問題特別代表の劉貴今氏は先日のエジプト訪問中、エジプト駐在の中国のメディアの取材に対し、「ダルフール問題を解決するには三つの重点と三つの原則を重視すべきだ」と示した。
この中で、劉代表は「中国側は、現在ダルフール問題には積極的な新しい兆しが見えたと考えている。特に12日に発表された国連・アフリカ連合(AU)・スーダン政府の共同声明で、スーダン政府はアナン元国連事務総長から示されたダルフール地区における平和維持部隊配置という第3階段提案を保留することなく受け止めると明らかにした。中国政府はこれに対し歓迎の意を表わす」と述べた。
また、ダルフール問題の解決には三つの重点があるとし、国際社会はともに努力すべきだと述べた。まずアナン氏の第3段階提案を早急に実行すること。次にダルフール地区の平和協議を結んでいない政府派閥が交渉に入るようにすること。さらに国際社会がより多くの援助を提供し、ダルフール地区の人道と安全情勢をできるだけ早く改善するようにすることと指摘している。
劉代表はさらに、ダルフール問題を解決するには、三つの原則を守るべきだと強調した。
①政治的にこの問題を解決すること。ダルフールの現状から見て、制裁を加えたり、圧力をかけたりするのは問題を解決できないばかりか、情勢を複雑化させる。
②事実に有効だと証明された国連・AU・スーダンの三者による協商を支持し、この三者の枠組みの下で、AUがスーダン問題における主導的役割を発揮し、アラブ諸国連合(LAS)も特殊な役割を果たすこと。国際社会から提出されるその他の提案や建議は、三者の採る方向と一致させるべきだ。
③ダルフール問題の解決にあたって、スーダンの主権と領土の保全を尊重するとともに、その他の面も考慮すべきだ。国際社会はスーダン政府が見せた積極的な姿勢を奨励するべきであり、スーダン政府の協力がなければ、ダルフール問題の解決は困難だ。
今回のアフリカ訪問の目的について、劉代表は、AU、アラブ諸国連合(LAS)およびアフリカの関係国とダルフール問題の解決について意見を交換し、関係側と共にダルフール問題を一日も早く解決するよう努力し、同地区の安定と発展を実現するためとし、「ダルフール問題は実際には発展の問題であり、貧困、立ち遅れ、資源の欠乏という現状のため、各部落が水源と土地を奪い合うことになったのだ」と述べた。(「北京週報日本語版」2007年6月26日)
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