市場経済化にともない、「労働契約」が必要となった中国での新たな労働法制づくりである。
雇用関係の有無について、労資双方で見解が異なる場合には、労働者の主張が自動的に認められるという。
法律のあり方をめぐり、20万件以上の意見が届いているというのも、ものすごい。
労働者権利 擁護へ審議 解雇・就業のルール規定 中国(しんぶん赤旗、6月24日)
【北京=山田俊英】中国で労働者の権利擁護を目指す労働契約法の立法化が進められています。法案を審議しているのは立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常設機関、常務委員会です。二十四日から二十九日にかけて開かれる今期第二十八回会議でも議題にのぼっています。
労働契約法案は、七章六十五カ条。第一条で「労働者の合法的権益を保護」し、「労働法に基づき本法を制定する」と明記。現行労働法を補強し、労働者を保護する契約法であることを明確にしています。
中国で労働契約は、市場経済化によって生じた新しい制度です。法案を承認した二〇〇五年十月の国務院(内閣)常務会議は、「社会主義市場経済下で労働契約制度をルール化する」必要が生じたと説明しています。
法案は、労働契約を書面で締結することを義務づけました。現行労働法でも書面で行うことになっていますが、実際には書面で契約を結ばない雇用関係が横行し、出稼ぎ労働者の劣悪な労働条件の温床となっています。
法案では、雇用関係があるのに、書面による契約がない場合、すでに無期限の契約が締結されているとみなすと規定しています。雇用関係の有無について労使の見解が異なったときは、反証がない限り、労働者の見解が正しいとみなされます。口約束で雇用し、勝手に解雇することを許さない仕組みになっています。
試用期間は最高六カ月以内に制限され、回数は一回だけ。試用を繰り返すことはできません。
解雇や就業規則の制定、変更にあたっては労働組合または従業員代表との事前協議を義務づけ、労組の役割を重視しました。
労働行政当局による監督権限も規定され、違法な解雇に対して当局が変更を命ずる権限や罰則も盛り込まれています。
法案の審議では、一般からの意見聴取が行われています。全人代に寄せられた同法案に対する意見は、全人代の発表でことし三月までに二十万件にのぼり、うち65%は一般労働者からのものだといいます。意見を受けて法案は、四月に行われた第二十七回全人代常務委員会までに二回にわたって修正されています。
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