ゼミの活動が「朝日」の記事となった。
7月9日付夕刊の社会面である。
中国では「慰安婦」問題についての初めての調査報告が公表された。
日本軍による組織的行動であることを結論づけているという。
従軍慰安婦問題を学び発信する女子学生たちの活動が本に(朝日新聞、7月9日)
女子学生たちが従軍慰安婦問題について、ゼミで学び、韓国に足を運んで交流した体験を講演会で話し続けている。周囲から「就職に不利になる」と言われたこともある。でも、被害者のハルモニ(おばあさん)に会って「彼女が負った傷は消えていない。過去の話ではない」と思った。高校や市民団体に呼ばれ、講演会は昨年秋から17回を数えた。先月には活動記録をまとめた本も出版された。
元従軍慰安婦との交流活動について講演する
神戸女学院大の小谷直子さん=7日午後、京都市中京区で
「自分たちと同じ年頃の女性がどんな目にあわされたのかを想像し、ショックで倒れた人もいました」。7日、京都市の生涯学習施設で開かれた市民集会で、神戸女学院大学(兵庫県西宮市)文学部4年の小谷直子さん(21)が語った。
テーマは戦争の真実。「政治に興味がない私でも、何でこんなひどいことをされないといけないのかと。ひどい、悲しい、許せないと思うようになった」。約1時間、約100人を前にゼミで学んだことや、韓国での見聞を話した。
小谷さんは同学部の石川康宏教授(50)のゼミに入っている。4年生は9人。当初は従軍慰安婦を「軍のお手伝いさん」と考えていた学生もいた。ドキュメンタリービデオを見たり、本を読んだりして学ぶ一方、従軍慰安婦の存在や強制を否定する意見も研究。日本軍の状況を学ぶため、靖国神社の戦争博物館「遊就館」も見学した。
学生のなかには親から「そんなことを勉強したら就職に不利になる」と反対された人もいた。
昨年9月、ゼミの全員で韓国・ソウル近郊にある「ナヌム(分かち合い)の家」を訪ねた。元従軍慰安婦約10人が仏教関係者らの支援で共同生活していた。
併設された日本軍慰安婦歴史館には軍が配給した避妊具や、女性が体を洗った金だらいが展示されていた。再現された狭くて暗い部屋に2~3人ずつで入り、部屋を出た所でショックのあまり倒れた学生もいた。
15歳で連行されたというハルモニの話を聴いた。毎日続いた暴行。ハルモニは日本政府に謝罪を求めながらも、「日韓の若い世代は仲良くしてほしい」と訴えた。
ナヌムの家にある宿泊施設に泊まった。上野紗矢佳さん(21)は「日本の過去を責められるんじゃないか」と不安だったが、韓国を去る前日、ハルモニの一人が笑顔で握手を求めてきた。しわだらけの小さな手は力強かった。帰りのバスで、韓国訪問を単なる思い出にしないために何ができるか話し合った。
ゼミの活動ぶりを聞いた高校から人権教育の授業に招かれるなど、これまでゼミの9人が計17回の講演をした。
この春、田中丸佐代さん(22)は大手金融機関の面接を受けた。面接官から「ゼミで勉強した内容と、安倍首相の考えは違うが」と問われた。自分が学び、体験した考えに揺らぎはないと伝えて内定を得た。誠実に聞いてくれた面接官の態度が何よりうれしかった。
慰安婦問題が米議会で取り上げられて米国で「申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べた安倍首相に、田中丸さんは違和感を覚えた。「米国の国会議員ではなく、あのおばあちゃんたちに謝るべきなのに」
学生たちの活動ぶりをまとめた本は「『慰安婦』と心はひとつ 女子大生はたたかう」(かもがわ出版)。6月中旬に出版された。
元従軍慰安婦の女性を囲み、写真に納まる神戸女学院大学の学生ら
=06年9月、韓国・ソウルの日本大使館前で、石川康宏教授提供
慰安婦制度、旧日本軍の組織的行為と判明(人民網日本語版、7月9日)
中国初の慰安婦被害事実調査報告の全容が7日公表された。調査は「慰安婦」設置は旧日本軍による組織的な行為だったと結論づけている。これまでは相当数の日本の政治家が「慰安婦の存在は軍の一部による行為であり、軍の組織的な行為ではない」と公言してきた。「京華時報」が伝えた。
中国元「慰安婦」被害事実調査委員会は7日、日本人戦犯による供述を最初に発表した。供述は、第2次世界大戦中に旧日本軍が安徽省巣県、江蘇省呉江、山西省聞喜、霍県、陽曲、湖北省当陽、宜昌、荊門、黒竜江・吉林・遼寧3省の数都市などに慰安所を設置したことを明らかにしている。
調査委員会は、旧日本軍によって「慰安婦」に強制徴用された中国人女性338人の名前が記載されている資料の存在も明らかにした。彼女らは1944年4月から1945年8月までの間、旧日本軍の軍医による身体検査に合格した後に、河南省、山東省、唐山、天津などの旧日本軍駐屯地に移送され、性奴隷(すなわち「慰安婦」)にされた。
資料はまた、日本の関東軍が南方の部隊から、南京に5カ所、杭州に1カ所の慰安所を設置し、中国人11人と朝鮮人、日本人からなる「慰安婦」29人を監禁したとの報告を受けていたことも明らかにしている。
調査委員会は、軍医による身体検査があったこと、各地に慰安所が設置されたことから、「慰安婦」の強制徴用が旧日本軍による組織的な行為だったことは明らかだとしている。(編集NA)
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