現憲法の解釈をかえることで、集団的自衛権の行使を可能にするという安倍内閣のたくらみだが、この秋の臨時国会では、解釈変更も、その法制上の具体化も行わないことが決まったらしい。
選挙後の公明党からの慎重論への配慮ということであるらしい。
集団的自衛権、今秋国会での「容認」断念 政府、関連法整備も着手せず(中日新聞、8月11日)
政府は十日、集団的自衛権行使の一部を容認するための憲法解釈変更を九月召集の臨時国会では行わない方針を固めた。解釈変更に伴う関連法の整備にも当面は着手しない。先の参院選で自民党が惨敗し、参院で与野党逆転した政治状況を踏まえ、憲法解釈を変更するのは事実上、不可能と判断した。
安倍晋三首相は、昨年九月の就任前から集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しに意欲を示してきた。今年四月には有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(柳井俊二座長)を発足させ、「公海上で自衛艦と並走中の米艦船が攻撃された際の反撃」など具体的な四類型について、解釈変更の可能性を検討している。
十日夕の懇談会では、国連平和維持活動(PKO)などで海外に派遣された自衛隊が、他国部隊も警護できるよう武器使用権限を拡大すべきかどうか議論された。首相は「他国の要員と共通の基準で緊密に助け合わなければ、各国の信頼を得ることも、効果的な活動もできない」と強調。武器使用権限を見直す方向で意見が一致した。
懇談会はこうした議論を踏まえ、集団的自衛権行使を認める最終報告を今秋に提出する予定だが、政府は選挙後、強まった公明党の慎重論に配慮し、ただちに解釈変更はしない方針。変更に伴う自衛隊法やPKO協力法の改正も参院の与野党逆転により先送りした。
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