兵庫県の財政実態が非常に悪いとの記事である。
基準は、将来返済すべき借金の額が多いということであるらしい。
これに対応するための「行政改革」や「切り詰め」は結構だが、問題はその中身をどうしていくかである。
何が無駄で、何が必要な支出であるのか。そこを具体的につめていかねば。
従来型の県民切り捨て「行革」の口実とされたのではたまらない。
兵庫、最悪水準5兆円 将来負担比率示す財政状況(神戸新聞、10月25日)
兵庫県の将来負担額が五兆一千億円に上り、自治体の財政状況を表す新たな指標「将来負担比率」が、全国の都道府県で最悪水準となる可能性が高いことが二十四日までに、分かった。昨年導入された「実質公債費比率」でも県は全国でワースト2だった。外郭団体などへの損失補償など、潜在的な負債を含めた指標でも、危機的な財政状態が浮き彫りになり、県が策定中の新しい行革プランへの影響も避けられないとみられる。
県によると、地方債残高は二〇〇六年度決算見込みで三兆三千億円だが、本来は借金返済のために積み立てておくべき県債管理基金を取り崩すなどしているため、実額では四兆円に迫る。定年を含めて全職員が退職した場合の理論上の退職手当六千三百億円や、公社・三セクなどの負債や借金の補償額などを足し上げると、将来負担額は五兆一千億円になった。
ここから基金残高や地方交付税が充当される起債分など計一兆八千億円を差し引き、標準財政規模で割れば、将来負担比率は3・89前後になる。潜在的なものも含めた借金が年収の約四倍あることを示している。
算定式の細部は総務省で検討中だが、兵庫県の将来負担比率は都道府県の中で「おそらく北海道と並んで最悪になるだろう」(県幹部)。起債残高が多いうえ、県債管理基金の積み立てが大きく不足しているのは、兵庫県と北海道だけで、将来負担比率が悪くなるためだ。
県は現在、19・6%の実質公債費比率を地方債の発行に国の許可がいらない18%未満にするため、行革プランを検討している。しかし、将来負担比率の基準によっては、改善計画の実施で国の指導を受ける「早期健全化団体」になる可能性もあり、さらに厳しい行革目標も必要になりそうだ。
将来負担比率 今年6月に成立した地方自治体財政健全化法で示された自治体の財政状況を表す4指標の一つ。自治体が将来負担する負債の「将来負担額」が、標準的な一般財源総額(標準財政規模)に対する割合。公営企業や三セクなどの負債、全職員の将来の退職手当など、潜在的な負債も含めて計算する。同法は自治体財政の健全化を図るため、2段階で自治体を「早期健全化団体」と「再生団体」に位置づけ、計画的な再建を義務付けている。
県の財政、コンビニ経営に例えると…(神戸新聞、10月25日)
借金3300万円 過去の大地震による店舗補修費が1/4強 県の財政が危機的な状況に陥っている。甚大な被害を受けた阪神・淡路大震災以降、基金(貯金)の取り崩しや借金で何とか年度ごとの収支の帳尻を合わせてきたが、国の制度変更で従来の“負担先送り”手法は行き詰まった。このままでは近い将来、北海道夕張市のように企業の倒産に当たる「財政再建団体」に転落する可能性もあるため、県民生活にも大きく影響する行革の論議が本格化している。県財政の実態はどんなものなのか。コンビニエンスストアの経営に例えて分析してみると-。
二〇〇七年度の一般会計当初予算をベースに、金額を十万分の一に縮小すると、この「店」の年間の総収入は千九百六十万円、総支出は二千八十万円。単純に百二十万円の赤字が出ている。
収入の内訳は、売り上げ(税収)や親会社からの支援(地方交付税)、商品仕入れなどのための融資(通常の起債)など。支出の内訳は、人件費や借金の分割返済(公債費)、光熱水費(行政経費)など。赤字分はカードローン(資金手当てのための起債)などで穴埋めし、何とか運転資金を確保している状態だ。
さらに、今年は年度途中に売り上げが当初の見込みを六十万円ほど下回ることが判明。商品の仕入れなどを一部取りやめ、あわてて金策に走り回る-という非常事態にも陥っている。
この「店」には、過去の大地震による被害で店舗補修を余儀なくされたなどの事情があり、三千三百万円の借金がある。貯金(基金)も毎年の赤字補てんなどで取り崩してきたため、残りはわずか百九十万円。また、近年は親会社の方針転換(三位一体改革)で支援が減らされるという経営圧迫要因もある。
加えて、今後の経営見通しも厳しい。売り上げが大きく伸びる要素はない上、親会社からは「貯金をもっと増やさないと、これまでのような融資は認められない」と通告を受けている。支出を大幅に切り詰めなければ経営が破たんしてしまう-というのが実情だ。(地方財政取材班)
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