日本政府は、アメリカ政府との話し合いで、岩国市を「極東最大規模」の米軍基地とすることを決めた。
地元岩国では、これに反対する井原市長が当選する。
その後の住民投票の結果、87.4%の市民が米軍基地増強に反対の意志を表明した。
これに腹を立てた政府は、すでに約束済みだった市庁舎建設の補助金を見送り、岩国市を財政危機に追いやった。
補助金にかわる予算案を市長は提起するが、米軍基地増強容認の議会勢力がこれを4度否決する。
すべては井原市長の責任であり、財政危機打開のためには国のいうことを聞くのが得策なのだというストーリーづくりのためである。
現状打開のために、井原氏は再び民意を確認すべく、市長選挙に打って出た。
だが基地増強派候補の福田氏は、基地より財政と核心争点を曖昧化する。
横からは、改憲・徴兵制・核武装を主張する橋本氏が、井原市長を批判した。
だが、憲法がいう地方自治の精神は、地元の意向を無視して国が勝手な政治を押しつけることを許すものではない。
日米同盟強化の名での日本の「属国」深化にとっても、地方自治のあり方にとっても、きわめて重要な選挙である。
騒音が大きい戦闘攻撃機FA18スーパーホーネットなど米空母艦載機59機を、米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地に移転する計画。岩国基地の滑走路沖合移設が完成する2008年度末以降に実施し、14年に完了予定。軍用機数が倍増、空軍嘉手納基地(沖縄県)に並び極東最大規模となる。隊員や家族ら約3800人も新たに増える。 06年5月に日米両政府が合意した在日米軍再編の最終報告に盛り込まれ、政府は実施方針を閣議決定した。
前市長の辞任に伴う岩国市の出直し市長選は3日、告示される。これまでに立候補を表明している前市長で無所属の井原勝介氏(57)と自民党の前衆院議員で無所属の福田良彦氏(37)の一騎打ちになる見通し。10日に投開票される。
井原氏は、旧市の住民投票などで示された民意を背景に、艦載機移転に一貫して反対。市民の「安全安心」を優先した国との協議を訴える。
福田氏は、移転容認派の要請を受ける。移転では「現実的な対応」と主張し、「争点は生活の身近な問題」として、財政再建などを展開する。
出直し市長選は、艦載機の移転に反対を貫く市の姿勢に対し、国が市庁舎建設の補助金を見送ったのが発端。補助金の代替として合併特例債を活用する予算案を市側は提案したが、容認派が多数を占める市議会が4度否決した。5度目の提案で、予算案の可決と引き換えに「再編の民意を問う」として、井原氏が昨年12月に辞職した。
市長選では、艦載機移転問題での国の姿勢に加え、市の財政状況なども問われる。ただ、最大の争点は移転問題とみられ、旧市の住民投票、合併直後の市長選に次ぎ、事実上、3度目の民意の選択となる。
岩国市長選 首相と直談判覚悟 基地問題解決へ井原前市長(しんぶん赤旗、2月2日)
山口県岩国市長選(三日告示、十日投票)に立候補する井原勝介前市長は一日、記者会見しました。このなかで、庁舎建設補助金を一方的にカットするなどアメとムチの手法で再編を進めることはとうてい納得できないとし、こうしたやり方は「国と地方の関係、民主主義と地方自治の根幹にかかわる重大な問題であり、岩国だけでなく全国で起こりうる問題」と強調。「防衛省だけでなく福田総理にも直談判し、考えてほしい。そういう覚悟で臨んでいきたい」と話しました。
井原氏は市長選の最大の争点は艦載機移転問題であり、「選挙結果によって対応は百八十度変わる」と指摘。立候補を予定している福田良彦氏(自民党前衆院議員)は「現実的対応をする」といっているが、現実には受け入れ「容認」であり、「相手が勝てばどんどん進むのは誰が考えても明らか」だと述べました。
井原氏はまた、福田良彦氏に対し、デマや悪口、圧力でたたかうのではなく、正々堂々と公開の場で議論し市民に判断を仰ぐべきだと述べ、公開討論を呼びかけました。公開討論会は市民グループ十二団体が一月二十九日に提案していましたが、福田氏は参加を拒否しています。
橋下氏に前岩国市長反論「大阪府民の声は聞かないのか」(朝日新聞、2月1日)
山口県岩国市にある米軍岩国基地への空母艦載機移転問題で、大阪府知事選で初当選した橋下徹氏が「国の防衛政策に地方自治体が異議を差し挟むべきでない」と述べて同市が06年に行った住民投票を批判したのに対し、前岩国市長の井原勝介氏(57)は1日、記者会見で「主権者である市民、国民が国政にものを言うのは当然だ。大阪でこういう問題が起きれば、国策だから府民の声は聞かないということなのか」と反論した。
井原氏は「住民投票は議会で成立した条例に基づいて行われ、住民の意思が明確に示されたもの。とやかく言われるのは筋違いだ」とも述べた。
住民投票は井原前市長が発議して06年3月に行われた。神奈川県の米軍厚木基地から空母艦載機部隊を岩国基地に移す計画に対する賛否を問い、「反対」が87.4%だった。
同市では出直し市長選が3日に告示される。移転に反対する井原氏と、移転容認派が推す前自民党衆院議員の福田良彦氏(37)の一騎打ちとなる見込みで、橋下氏は福田氏を支援する考えを示している。
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