外交問題評議会の報告書がこういうのだから、これはなかなか重要である。
ブッシュ流の「ハードパワー」のみに依拠した外交政策への批判にとどまらず、アメリカの国際的威信が低下しているという世界構造の変化に対する自覚の深まりである。
それが支配層の外からでなく、内から聞かれるようになってきているところに大きな意義があるわけである。
中南米への覇権時代は終わった 米研究所が報告書(しんぶん赤旗、5月21日)
【メキシコ市=島田峰隆】米国の外交政策について分析、提言を行う研究所「外交問題評議会」は十四日、米次期政権が取るべき対ラテンアメリカ政策についての報告書を発表しました。報告書は「ラテンアメリカで米国の覇権の時代があったとすれば、それは終わっている」と指摘。貧困や治安維持などに協力し、影響力を回復するよう求めています。
十九人の識者が執筆し、クリントン政権時の米通商代表のバシェフスキー氏、第一期ブッシュ政権時の南方軍司令官、ジェームズ・ヒル氏が共同で議長を務めました。
報告書は、「米国の政策はもはや、わが国がラテンアメリカで最も重要な外部アクター(役者、行為者)だという前提に基づくことはできない」「ラテンアメリカの特に大きな国々は、主に米国との外交、貿易、安全保障の関係によって彼らの利益が決まるとは考えていない」と指摘しました。
また米州自由貿易圏構想の行き詰まりなどを挙げて、「市場開放、民主主義強化、麻薬対策の方針」は、「(功罪)入り混じった結果」しかもたらしていないと述べました。
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