安倍氏の言葉の上での歴史認識は日々〈進化〉しているようである。
目前の中韓首脳会談に向けた譲歩であり,アメリカの意向に沿うための譲歩である。
そして,もちろんそれは国会内外での強い批判に余儀なくされた譲歩でもある。
それにしても,こんな大事な問題について,中2日でこうもいうことが大きく変わるとは。
とはいえ,「慰安婦」でも,「自虐史観」でも,過去の発言を誤りだったとは認めない。
一貫する「信念」が売りだったはずだが,早くもボロボロ状態である。
「安倍首相 指導者に戦争責任 衆院予算委 村山談話継承も明言」(西日本新聞,10月6日)。
「安倍晋三首相は5日、就任後初めての衆院予算委員会で、先の戦争をめぐり、祖父の故岸信介元首相を含む指導者の責任を認めた。同時に(1)「植民地支配と侵略」を明記した1995年の村山富市首相談話(2)旧日本軍の強制を認めた従軍慰安婦問題に関する93年の河野洋平官房長官談話-の2つを、首相個人としても継承する考えを明言した。中韓両国首脳との会談を8、9の両日に控え、歴史認識で一歩踏み込んだ形だ」。
「安倍首相は、東条内閣の商工相だった岸元首相が太平洋戦争開戦の詔書に署名したことを問われ『開戦の結果、アジアの人たちに多くのつめ跡を残した。指導者には祖父を含め大きな責任があった。政治は結果責任だから当然、判断は間違っていた』と述べた」。「首相は2日の衆院本会議で、A級戦犯として極東軍事裁判(東京裁判)で裁かれた国家指導者の責任を『具体的に断定することは適当でない』と言及を避けていた」。
「村山談話をめぐっては2日の衆院本会議で『先の大戦をめぐる政府の認識は、95年の首相談話などの通り、かつて植民地支配と侵略で多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えたというものだ』と答弁したが、この日は『私の内閣でも生きている。首相であり(継承するのは)当然だ』と明言。侵略や植民地支配の記述も「閣議決定した談話であり、国として示した通りだ」と認めた。河野談話に関しても『私を含め、現在の政府として受け継いでいる』と述べた」。
「安倍首相 “歴史認識判断するのは間違い” 『満州国』の評価避ける」(しんぶん赤旗,10月6日)。
「衆院予算委員会は五日、安倍晋三首相と全閣僚が出席して総括質疑に入りました。首相は、先の日本の戦争をめぐる一九九五年の村山富市首相談話について、『当然、生きている』とのべ、引き継ぐ考えを改めて示しました。しかし、日本が傀儡(かいらい)国家として『満州国』をつくったことについて問われると、『歴史の認識や分析について政治家が神のごとくに判断するのはまちがっている』とのべ、具体的事例については言及を避けました。民主党の菅直人代表代行への答弁」。
「菅氏は『村山談話を認めるなら、「満州国」の建国は侵略であり、まちがっていたというのが自然だ』と批判しました」。「安倍首相は、祖父・岸信介元首相が東条内閣当時、商工相として太平洋戦争の開戦詔書に署名したことについては、『当時はいろいろな状況があった。結果として、その時の判断はまちがっていた』とのべました」。
「安倍首相は、『従軍慰安婦』問題をめぐる九三年の河野洋平官房長官談話について『私の内閣で変更するものではない』とのべました。しかし、かつて同談話を批判していたことについては『当時、いろいろな議論があった』と開き直りました」。
菅氏は『首相は歴史教科書について自虐史観だと強くいってきた。一方で歴史認識を語りながら、首相になったら語らない』と批判。安倍首相は『申し上げてきたことは別にまちがっていなかった』と強弁しました」。
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